2020年4月になり、コロナウイルス被害の影響が企業にも顕著に出てきました。
東京商工リサーチ、2020年4月10日付けの「第3回新型コロナウイルスに関するアンケート」調査によると、3月は約8割の企業が減収の状態で、 中小企業でみると回答数の42.2%が3ヵ月以内に決済に不安が生じる恐れがあると答えています。
私が現在かかわっている会社でも危機感はどこも同じものの、業種・経営状況による温度差があり、 起業して年数が短いため増収増益の状況で、売上減の基準に当てはまらず、かといって、このままでは夏以降に減収減益になる可能性が高く、 雇用調整助成金の特例措置の実施期間にまにあわない。セーフティネット保証融資を借りても根本的な解決にならないので、どうしたらいいのかわからないといったような話を聞きました。
同様な話を長期の契約をかかえる建設業者からも聞き、業種によって影響が及ぶ時期がさまざまであると感じた次第です。
しかしながら、この事態による影響はあまりに大きく、長引けば長引くほど中小企業の倒産件数は増加するいっぽうであると思います。
そこで、今回は経営とリスクについて書いてみようと思います。
まず、どんな業種であったとしても、コロナウイルスのような突然の災害ですぐに影響をこうむるのは、有利子負債の多い会社です。
有利子負債とは、簡単に言えば銀行借入のことで、当たり前ですが借入金の返済は利息以外は経費にならず、せっかく得た利益がそれによって失われていきます。返済は税引き後利益のキャッシュを奪い、さらに手持ち資金を維持したいという経営者の希望によって借入を恒常化させます。そして今回のような事態になると借入金の多さで自らが苦しむことになります。
さまざまな資金調達の手法をもつ上場企業ならいざ知らず中小企業の場合、資金調達の選択肢は限られているのです。
それゆえ麻薬のように多くの中小企業が銀行借入の罠にはまってゆきます。
現実の社会では借入をしないと事業じたいができない業種があります。バランスシートでいえば固定資産を持たないと 事業の継続が難しい会社や、販売しているものの単価が高くて回収が長期化する傾向のある会社などです。
これらの問題を解決するために銀行借入に頼るわけですが、今回のコロナ騒動のようなことがおこるとそれらの企業はいっきに破綻に向かいます。
有利子負債で破綻するわけですが、けっきょくは調達した資金で得た「資産」によって破綻するのです。
しかし、破綻しにくくなる資産の持ち方もあるのです。
じっさい、資産の所有のしかたを変えるだけで企業が破綻する確率は減ります。
考えてもみてください。製造業者A社が銀行借入で工場を購入し、そこで事業を継続した場合、当然に工場に根抵当権が設定され、
運転資金の借入の都度、工場の担保価値を査定され、地価が下がれば追担保を要求されることになるのです。
もしもA社の社長が、銀行の債務者名寄せに該当しない方法で別の会社B社を作り、B社が工場を購入し、収益物件としてそれをA社に貸せば、 工場家賃はA社の経費にすることができ、B社は不動産の賃貸をおこなっているだけなので運転資金の借入が発生することもなく、銀行の担保不動産の再評価さえほとんどされず追担保や厳しい経営改善を要求されることもありません。
こんなふうに資産の所有をどうするか考えることで、最悪を回避できることもあるのです。