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経済・株式・資産

第149話 顧問税理士に聞いてはいけないこと

あなたの会社と資産を守る一手

 会社にはたいてい顧問税理士さんがついています。社長はおカネのことや経理のことで、なにかあればその税理士さんに相談するものですが、一つだけ聞いていけないことがあるのをご存じでしょうか?

 税理士さんに聞いていけないこととは脱税についてです。

 どうして聞いてはいけないかというと、税理士法36条という規定があって、そこに相談さえしてはいけないと明記されているからです。(注1)
 当然ながら脱税工作をするような会社を顧問にすると、税理士さんは何が行われているかも知らず、社長が勝手に行った偽装、隠ぺいを税務調査時に始めて知ることになり、あわてるものです。

 世間一般的に脱税をしている会社は少ないと思いますが、税務署員でなくても、そういった脱税工作はみつけやすく、決算書、元帳、請求書をみていけば比較的かんたんに発見できます。どうしてかというと、脱税工作には違和感が必ずあるからです。

 仕入れを使った脱税を題材に考えてみます。

 仕入れていないのに仕入れたことにすれば、原則課税の事業者なら仕入税額控除が増えるので消費税負担は減ります。また、仕入れたものが在庫にならなければ、 利益を減らすことができて法人税・地方税の負担を減らすこともできます。それゆえに仕入の操作で税負担を減らす脱税はポピュラーですが、仕入には相手先というものがあります。
 相手先の会社が粉飾をしたいのであればお互いの考えが一致してマッチングできるでしょうが、 相手先を探す段階でうまくいかないのがほとんどだと思います。

 そこで、脱税会社は決算月の翌月以降に仕入れるはずなのに、 決算月に仕入れたことにしてほしいと頼み、 決算月に納品のない架空仕入れをおこして、消費税負担を減らし、 さらにそれを消費したことにして(製造原価などにして)、 法人税・地方税の負担を減らそうと試みます。じっさい決算月が同じ会社同士でなければ、相手先のダメージも少なく、このようなことが行われやすいのかと思います。

 いっけんうまくいきそうな手口ですが、 税務署員はその取引についての違和感を感じとるものです。
 たとえば、「その仕入の支払日がいつになったか?」を調べて、通常の支払い時期より1か月遅いとかを調べ上げ、「本当は決算月に納品していないんじゃないですか?」とつっこんできます。仕入が原材料であれば、じっさいの納品日を調べることなどかんたんなものです。さらにこの手口は税負担がいくらになりそうか判明した後にバックデートでおこなわれることがほとんどなので、 決算月とその翌月の相手先とのやりとりの記録をメールなどで確認すれば嘘がバレてしまいます。

 また、 仕入を簿外にして、それに対応した売上も簿外にして、 売上そのものを除外にするという手のこんだ手口もあります。
 これはコスパを考えて、利益率が大きい売上の時におこなわれる工作で、 原則課税の事業者なら消費税も、さらには法人税・地方税も 減らすことができる脱税手法なのですが、このての脱税をする場合、 会社以外の口座、社長の個人口座に入金してもらうのが常套手段で、それゆえに社長個人の口座を調べられれば脱税の事実が判明してしまいます。(注2)

 これらはどこからみても「仮装、隠ぺい」であり悪質な脱税といえます。脱税で「仮装、隠ぺい」と認められた場合、重加算税が請求されます。そして、その結果は多くのケースで悲惨なものになるものです。

 

(注1)
(脱税相談等の禁止)
税理士法第三十六条
税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。

(注2)
国税庁
税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)より抜粋
問7 法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがありますが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができますか。

 法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされています。

 この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます

 調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、ご理解を得られるよう努めることとしていますので、調査へのご協力をお願いします。

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