なのに、“銀行に交渉したら、こんなことを言われました!”と、簡単には進まない場合が多いです。
しかし、なかには、“えっ?それってどういうこと?”と言いたくなる、意味不明の困った迷言も多々あるのです。その事例をふたつ、紹介しましょう。
(1)「ガバナンス機能が必要ですね…。」
“個人保証を外すには、社内のガバナンス機能が必要ですね…。”
銀行の担当者が言ったそうです。経営者は、「一体どういうことだ?」と思ったものの、“そうなんですか”で、その場は終わってしまった、というのです。
銀行担当者にしたら、してやったりです。
“「ガバナンス機能って、どういうことですか?」と、突っ込まなかったんですか?”と、経営者に聞くと、“いやぁ、ちょっと聞きづらくて…。”とのことです。要は、若い銀行担当者に、わからない言葉を尋ねるのが、いやだったのです。
そもそも中小企業に、たいしたガバナンス機能など、あるはずもありません。
というより、最もガバナンス機能が問われているのは、銀行自身のはずなのです。それをよくも、その担当者は言い放ったものだな、とあきれてしまうのです。
(2)「倫理的に責任の所在をはっきりさせるためです」
あらためて、金融庁のガイドラインを見ました。個人保証に対する金融機関の考え方を変えることになった、金融庁のガイドラインでは、次のような見解です。
個人保証は、
1)経営に対する経営者の規律付け
2)資金調達の円滑化
ということに寄与する一方、
3)思い切った事業展開の阻害要因
4)経営が窮境に陥った場合の再生阻害要因
になっているのが、課題としています。
だから、個人保証をむやみにつけるな、個人保証ははずしなさい、と、金融機関の考え方を変えさせたわけです。3)と4)が、重要なポイントなのです。
つまり、金融庁が推進しようとしていることを無視している、ということになります。昔のまんま、スタンスはな~んにも変わっていない、わけです。
銀行担当者の、意味不明な迷言に流されず、さらなる交渉を続けてほしいのです。
(1)2年続けて、減価償却前の経常利益が、赤字である。
(2)債務超過である。
この条件に該当しないなら、個人保証を外すことは、できるのですよ。
実際、私の指導先で個人保証を外した経営者がたくさんいらっしゃいます。