私はこの20年間、インフレ期は来ない。やるべきは、今も強力に「たたむ 削る 変える」を推し進めるべきであると申してまいりました。
「ハイパーインフレがくる」
「日本の円は紙くずになる」
と20年間言い続けるバカな評論家が存在し、日経に毎年広告を出し続けています。
20年間言い続けて「ハイパーインフレ」が来ないのに、恥ずかしげもなく広告が打てるのには呆れてしまいます。
今一度、私の申し上げている経営課題は
売上至上主義 → 粗利益率(商品力)営業利益主義に!
売上至上主義 → 総資産回転主義に!
売上至上主義 → 労働生産性主義、システム主義に!
売上第一主義の売上を求める売上至上主義はもうやめよう!
売上を上げることばかり考えるな!
つくることばかり考えるな!
人を増やすことばかり考えるな!
と申し上げているのですが、なぜ出来ないのでしょうか?
著名な今は亡きスーパーマーケットの経営者がおっしゃいました。
「売上増加はすべてを癒す!」
私は言いかえしました。
「売上増加はすべてを隠す!」と。
時代の環境に合い、商品力が強く、多くの顧客に求められて成長している状況で売上を“伸ばすな!” とは決して申しません。
成長にピークが見えても、次の時代の新商品なり、売り物を革新準備して戦略的にもしっかり把握できているならば、売上増大策に決して反対はしません。
しかし、成長性に陰りが見え、商品競争力、需要減少がはっきりした時に、売り上予算を利益が出ないからと言って、有無を言わせず、上からの命令予算を神の言葉として押し付ける、といった無理な事をしてはなりません。
このようなことが会社において日常茶飯事に行われて、そして、企業寿命を縮めてしまう失敗を私は嫌というほど目にしてきました。
計算上は売り上げを今よりも10%伸ばせば黒字化します。
P/L重視でみていけばそのような計算が成り立ちます。しかし、売上の伸び以上に現実は経費が上がり限界利益率が低下します。
トップに立つ経営者の共通点は、売り上げを落とすことを非常に嫌います。
売上を落とすことは“怖い”のです。“苦痛”なのです。
嫌な事、痛い事を避けます。出来もしないバラ色の夢を見るのが好きなんです。
環境変化から売上がどうしても無理なら売り上げ目標を下げて利益を上げるようにすればいいのです。
これも“挑戦”なのです。
売れない、粗利益の出ないアイテムを止める、社員数を削る、作り方を変える、他社で作る、他国で造る。
後退作戦も大いなる挑戦であり、血のにじむ努力が要りますし、強い精神力が必要です。
実は、前進の方が簡単で後退の方が難しいのです。
売上!売上!とトップが言い続けると不正経理が発生するのです。
架空売上、押し込み売上、原材料迂回売上、脅迫売上 馴れ合い癒着売上、などいくらでも現場では可能です。
月初や期首に赤伝切って、返品してしまえば、架空売り上げは可能です。
原材料を売って(売上増)、加工して仕入れる、
本部の知らないバッグリベートを支払い、売上を上げる。
義理人情的癒着、超月数手形販売などいままで粉飾売り上げを多く見てきました。
結局、すべて安値受注、赤字受注になってしまいます。売上を上げても原価が高くなり、結局は赤字です。
正に無理が通れば道理が引っ込む。
東芝のように、強引なトップがP/L重視で、売上!利益!と言えばサラリーマン社員は、常にヒラメ社員(目が上についている)ばかりになり、トップの示す方向に粉飾してでもその通りに動きます。
善悪など何も考えなくなるのです。
自分の職責、地位、待遇を失うのが怖いのです。
東芝など外部の人間が見れば、つくづく組織の“あほらしさ”“バカさ加減”がわかってくるのです。
東京証券取引所はかなりの罰則的課金を言ってくるであろうし、株主からの賠償請求にもこたえなければならないので、大きい目で見れば大変な損失であります。
東芝は名門企業であります。
私は、本年新年に東芝テレビ4K大型テレビを買い求めました。
なぜか東芝の4Kテレビが他社のそれより美しかったからです。
東芝は、ノート型パソコンやNAND型フラッシュメモリーは世界に先駆けた発明企業です。どこよりも早く電球をLED型に変えた会社じゃないですか?
東日本大震災で原子力発電もウエスチングハウスで痛手、リーマンショックで痛手を被りました。まさかの坂は何も東芝だけではなく、発生するのです。
東芝の企業使命は、技術革新による投資で、新たな革新的新商品を世に出しつづけなければならないのです。
ソニーが新商品を出し遅れた戦略的失敗を起こしていたではありませんか!
また、東芝がそれに続くのですか?