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戦略・戦術

第42話 「良い投資と悪い投資」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

そ の1、 悪い投資
 
 1年前に私はこの欄でファンドマネージャーと称される評論家達が目一杯銀行より借金して、ドルを買いなさい、ドルで預金かドル建ての債権を買 いなさいとの、論評に対して「とんでもない」と申し上げた。
 

 稼ぐ為に投資と称して投機の為に借金を目一杯やりなさいと、発言する人の人間性に疑問を感じるのです。
 

 図1を見て頂きたい
 
 銀行より借金する。これは当然支払い利息が発生し、元金返済と言う義務が生じてくるのです。どのようにして毎日、元金返済をしてゆくのです か・・・
 
 

 借りる人間は何を考えて、その行為に走るのでしょうか・・・
 
 当然、値上がり益、受取利息なり配当を考えるのでしょう。
 
 しかし、世の中、値上がりもすれば値下がりもする。永遠に上り続けることは稀有なことです。
 
 私が社会人になった1965年、昭和40年から1990年(平成2年)まで25年間、確かに不動産が値上がり、金融、証券価格が右肩上がりで 上がる、インフレ期を私も充分に体験して参りました。
 
 なぜ、こんなに値が上がったのでしょうか・・色々な学説はあると思いますが、1971年(昭和46年)ニクソンショックからドルの裏づけに 「金 キン」の裏づけを必要としなくなったことでしょう。
 

 供給に限度がある金や銀を基軸にしている通貨を、計算上の数値に置き換えてしまった。その数値が単なる金額情報にしてしまったので す。
 

 私も中小企業の上場に関係する事がありました。50円の額面の株式が証券市場に売りに出されるだけで、100倍の5000円になったりしまし た。
 
 なんでこんなに高い値がつくのか・・・市場での需要と供給で決められた会社の固定資産にその値打ちがあると説明されました。私もその時は納得 していても、平成4年には5000円の価格が1000円を割りました。
 

 土地や業績や在庫商品も絶対的価値、評価はないのです。
 
 上がる時も下がる時もあるという事を体験しました。
 

 投資に「リスク」はつきものと反論される方もいらっしゃいますが、そうですね。「バクチ」に勝ち負けはつきものです。しかし、バクチが良い事 だとは私の両親は教えませんでした。あらゆる私の師はそれをすすめませんでした。
 

 1984年(昭和59年)に私は独立開業しました。
 
 私は、ゼロックスのオフコンを1台購入しました。今のオフコンとは比べようのない低いレベルのものですが、当時はそれでも先進的でし た。
 
 日本におけるパソコン、インターネットの普及は、その後、5年後以降だと思います。
 

 金(キン)に裏打ちされた価値あるドルが単なる紙に書かれた数値に置き換わり、その数値が金額情報になり、そして数値情報は電子信号に置き換 えられ、瞬く間に地球規模で〈共産主義の崩壊により〉動きまわりはじめたのです。
 
 信用ある機関と称された国、銀行、証券、保険機関がいくらでも造れるようになってしまったのでしょう・・・
 

 それだけでよかったのですがニューヨークのウオール街の頭のいい輩がその個々の借入金、銀行にとってみれば貸付金、この貸付金をどんどん証券 化して売り払う、買い取った証券会社は又、小さくして他のやつとまぜて証券化して、あちこちでさも価値ある商品として売り回りました。
 
 それ以上にAIG保険会社が、大丈夫ですよとの保証をした保険商品(CDS)なる金融派生商品(デリバテイブ)を作り出し、もう正体が何がな にやらさっぱり判らなくなり、ただ「大丈夫」と、皆が信じて、その総額60兆ドル、日本円でいくらになるのでしょうか・・・という膨大な額になり破裂して しまったのです。
 
clinic42_01.jpg
 石油、貴金属、穀物といった商品市場、為替、証券、債権と言った金融市場、2大市場、6商品が市場の垣根を抜きにして、クロスしてしまい、実 物取引ではなく、マネーゲームとして価格が乱高下したのは2008年でした。私たちは、昨年、正に2008年にそれを体験しましたね。
 
 バクチ打ちがプロとしてその行為をされることに対してとやかく言うつもりはありませんが、我々、素人が間違ってもそこに入り、勝つとういう欲 望はおこさないことです。
 
 プロの人々もこのような状況をエキゾチッキ化というそうです。何の意味でしょうか・・・・エキゾチック化って!
 
 異国と言うらしいです。その国々の価値観がさっぱり理解できず、わからないということなんですって・・・プロでもわからない世界に素人は関係 すべきではないですよね・・・

 

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