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愛読者通信

「付加価値の積み重ねがブランド」
酒井光雄氏(ブレインゲイト代表)

「愛読者通信」著者インタビュー

  価格の下落が止まらない。新興国からの安い製品が市場を席巻するいま、日本の中小企業は、いかなる方向に舵を切るべきか…。ブランド戦略の第一人者に、これからの時代の“価値づくり”経営についてお聞きしました。

■著者/酒井光雄(さかいみつお)氏
ブレインゲイト代表

事業経営の本質は「これまでになかった新たな価値を生み出し、社会に認めてもらう活動」であると提唱。企業と商品の「価値づくり」を情熱的に指導する、注目のコンサルタント。これまでに自動車、飲料食品、衣料、住宅、コンピュータ関連、生活関連、金融…など、コンサルティング先は100余社を数え「経営者に勇気と収益をもたらすコンサルタント」として絶大な人気を博している。
著書に『中小企業が強いブランド力を持つ経営』『価値づくり進化経営』『価格の決定権を持つ経営』『ストーリービジョンが経営を変える』(共に日本経営合理化協会刊)など多数。

 

Q: ブランドと言えば、大手とか欧米のものに感じますが、中小企業にとって、なぜ、今ブランド力が必要なのですか?

 皆さんがうすうすお気づきのとおり、日本が強みとしたものが通用しなくなってきています。人件費の安い国に勝てない。テレビなど家電メーカーに代表されるように、赤字がとまらない。大企業だけかとおもいきや中小企業も同じで、安売りで小売や量販店で収益があがらず皆で不幸になってしまっている。僕らは経営者を助けるのが仕事なので、いまこそ、中小企業がブランドをつくっていかなければ、本当に立ち行かなくなってしまうと危惧しています。
 ブランドと聞くと「名前が知られている」とか、「ヨーロッパの高級バッグや靴」といったイメージで考えられがちですが、重要なことは「付加価値の積み重ねがブランドになる」ということ。はっきり言えば収益を上げられないものは単なるマークです。この点を正しく理解し、現有の商品・サービスを付加価値でくるみ、収益の上がる第一級のブランドに育てていくことが、いま最も重要なことなのです。

 

Q: 付加価値づくりを考えるとき、重要な視点はありますか?

「付加価値をつける」と言っても、漠然としていて何から取り掛かればいいのか分からない企業や経営者が多いと思います。残念ながら、世のブランディングの類の解説は大手企業が対象で、大量陳列やマス広告を行なう手法が中心です。中小企業には役に立ちません。そもそも、ネットを前提に智恵を使ってブランドを生み出していく発想が重要で、売れていきながらブランド化できなければ意味がありません。
 こうした点を踏まえ、私は付加価値づくりを進めるにあたり、「つくる領域」と「売る領域」に切り分けて考えます。これは実際のコンサルティングの現場で如実に現れることですが、メーカーはモノづくりにおける付加価値には熱心ですが、「売り方」についてはおろそかな企業が非常に多い。
 一方で、卸や小売、代理店などは売るノウハウには長けていても、「付加価値を高めるモノづくり」についてはほとんど気にもかけていない。ここに大きな着眼点がある訳です。

 

Q: 具体的には、どのように付加価値づくりに取り組めばいいですか?

 具体的には「つくる」と「売る」領域で10種類ずつくらいに細分化した方法の中から、自社の商品・サービスに幾つか加えられないかを検討することです。メーカーは売る領域を、小売はつくる領域を意識して、自分達が手薄になっている部分を強化することがキーポイントです。
 経営者一人ではブランドをつくることはできません。実行部隊の人と一緒になって進めていくことも重要です。価格の下落で苦しんでいる企業、今までブランドが存在しない業界ほど、いち早く着手すべきでしょう。
 ブランドをつくれない業種や業態というのはありません。完成品でなくても、素材や海を泳いでいる魚でも、ブランド化は可能です。賢い企業を参考にすることです。

 

Q: ブランドづくりを進める上で、注意点などはありますか? 

 自分たちの業界のことは「横目でも見ない」こと。まったく違う業界や企業に学ぶことが最も重要なことです。
 ブランド物のバッグ売場と着物の売場を比べてみれば、どちらの方が高級感があって満足度が高いか。同業を見ていても決して分かりません。付加価値は女性の方が感覚的に優れていることが多いので、奥さんや女性社員と会話したり一緒に買い物に行くのも勉強になります。また、自分自身がどこかのブランドのユーザーになってみることも重要です。何に対して対価を払うのか、感覚的に理解できるようになります。
 そういう意味でも、経営者の人柄をブランドにすることです。素朴で実直ならそうしたブランドを育てること。そうすれば自分が分かる“価値づくり経営”が進められるでしょう。

 

 (聞き手/日本経営合理化協会・出版局)

「愛読者通信」(2012年2月)掲載

 

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