前回、「改善のやり方」についてお話しました。今回は「対外試合をしよう」についてお話します。ご紹介させていただくのは『電話応対』の対外試合です。仕事には様々な業種や職種がありますが、「私どもでは電話応対はいたしておりません」と言う業種や職種はまずありません。お客様は電話の第一声をお聞きになるだけで、その組織を一瞬のうちに評価なさってしまいます。
私はコミュニケ―ション・インストラクターですが四半世紀前頃から、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会で電話応対の指導もいたしております。今年は第61回電話応対コンクール全国大会が、11月中旬に山口県で開催されました。後援は総務省・日本商工会議所・東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社などで、参加なさる企業様は皆揃って、コンクールのスローガンである「“聴く力”、”伝える力“を磨き、応対力アップ」を目指しました。参加選手の方々は4月の問題発表から約半年間学び続けて、日本一を競う全国大会出場の切符を手にしたのです。(今年の優勝は、広島県代表の方でした)
全国大会開催初期の頃は、まだ世間に現在ほど「顧客満足度」の言葉は浸透していませんでしたから、ホテル・百貨店・銀行など接客がメインの企業様の参加が中心でした。時代が進むとお客様の「お客様意識」が段々高くなり、ホテル・百貨店・銀行などに加え、公官庁・病院・一時期は斎場のなどの多種多様な組織が接遇に力を入れるようになってきました。今回の大会でも顔ぶれは、人材派遣会社・不動産関係・空調事業・健康食品会社・ケーブルテレビ事業・運送業・保険会社・証券会社・銀行・コールセンター・カスタマーセンターなどと多岐に亘っています。
いろいろな業種・職種の方を公平に審査するために毎年ユーザ協会本部が架空の会社を想定して問題を作り、社員役の選手がお客様役の模擬応対者と3分以内で会話をします。(3分を過ぎると減点があります)社名の名乗りから要件を伺い、説明をし、納得を頂く電話応対の過程が審査されます。問題が同じなので聴いていて分かりやすく、大変勉強になります。選手の十人十色の応対に納得したり、こんな角度から攻めることもできるのだと気づいたりします。ご興味がおありの方は「公益財団法人日本電信電話ユーザ協会 過去の映像一覧」を検索なさってください。(2022年につきましては、まだ映像がアップされていません。2021年と2020年はコロナ禍によりリモートだったため音声のみ。2019年から2012年までの優勝者の映像はご覧になれます)只今このコラムをお読みくださっている皆様、電話応対コンクールに参加なさってみるのはいかがでしょうか。対外試合は異業種の方々と、同じ目的に向かって学ぶ体験が出来るとても良いチャンスです。他社はこんなに頑張っているのかと大いに刺激も貰えます。
また、年一回自社に沿った問題を自分たちで考えて社内電話コンテストをなさっている企業様もいらっしゃいます。社内での電話応対コンテストですと、実際よく受ける電話内容で問題を作ることが出来るので、社内の電話応対力の底上げに直結します。練習の肝は、応対内容を文字で書くのではなく、まず話し言葉で言ってみるということです。書いてそれを見ながらの練習では、書き言葉を話すことになり、自然な会話の流れが損なわれてしまいます。話し言葉の応対が定まってきたら、話し言葉をそのまま書いてください。そして録音して、その内容を客観的に聞きながら気になった表現や言葉遣いの間違いなどを直します。実際電話応対コンクールに参加なさる選手の中には、社内電話コンテスト一位だった方もいらっしゃると耳にしております。
「社内コンテスト?面白そうだな。やってみたい!でもやり方がよくわからない」と思う方は、日本経営合理化協会様を通して私にご連絡をください。いつでもアドバイスをさせていただきます。立ち上げから社内コンテスト当日までの準備に関わる方々、選手として参加なさる方々双方に、大きな学びがもたらされます。
コロナ禍によりコロナ禍以前にお客様に対して出来ていたことを、無意識に見落してきている傾向があると感じております。初心に戻って会社単位で接遇を見直す姿勢は、きっとお客様に直感としてお分かりになっていただけるのではないでしょうか。
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