単なる5Sにとどまらず、社員の成長も実現する独自の環境整備を500社以上で展開。
実践企業で次々最高益を達成させている今村暁氏に、環境整備で社員が育つ理由や、効果などをお話しいただきました。
【今村暁氏について】
これまでに500社以上で目覚ましい成果を上げてきた環境整備指導の第一人者。独立起業した学習塾ビジネスで「そうじ道」と「習慣教育」の独自のノウハウを駆使し、東大合格者を多数輩出。2011年に「そうじ道」の普及と発展を目指し「日本そうじ協会」を設立。著書『人が育って儲かる環境整備』(弊会刊)、『朝10秒そうじのすすめ』(王様文庫)など多数。
-なぜ、今村先生は社員教育の土台として環境整備を説かれるのでしょうか?
私のもとに訪れる社長の悩みは大きく分けて、「売上が落ちてきている」、「人が育たない」、「社員がついてきてくれない」の3つに分類できます。
要するに、「ヒト」と「カネ」の悩みですが、これらは、環境整備を通して、社員が成長していけば、解消できます。
環境整備を中小企業に広めたのは一倉定先生です。一倉先生は「環境整備こそ、すべての活動の原点」と説き、多くの会社で経営革命をもたらしました。
また、メーカーでは戦後、3S(整理・整頓・清掃)に取り組み、生産性向上と安全性の両面で効果を上げていましたが、人を育てることよりも効率を求めていました。
私の指導する環境整備の特徴は、「社員が育つ環境づくりと習慣づくり」です。そのために、3Sに、「清潔」、「習慣」、「仕組み化」を加えた、社員が育つための6Sを提唱しています。
私は以前、不登校の子どもを対象にした学習塾を経営していました。そのときに私は、「環境と習慣を変えない限り、人は変わらない」という事実を痛感しました。
不登校の子どもは、ゴミ溜めのような部屋に引きこもっていることが多いのですが、環境が悪い中では、夢を持つことも、目標を達成することも難しいのです。
そのため、私はまず、そうした子どもの部屋を片づけ、良い環境をつくるところから指導をはじめました。
また、問題を解くテクニックを教えるだけでは成績は伸びませんでした。なぜなら、土台となる良い習慣が身についていないからです。
私は、良い姿勢、良い言葉づかい、良い動作、気持ちの良い挨拶…彼らの基本的な習慣も改めていきました。
こうした指導の結果、全国模試で1位、東大合格など目覚ましい成果につながりました。
これらは、子どもの教育だけでなく、社員の教育においても同じことが言えます。
周囲が汚れ、乱雑な職場環境よりも、キレイで整理・整頓が行き届いた環境の方が、社員が前向きに、かつ集中して仕事に取り組めますよね。
また、社員をいくら研修に派遣したところで、その土台となる良い習慣がなければ、なかなか効果は上がりません。
環境整備の一環で、毎日職場を自らの手で掃除するという習慣を身に着けることで、社内に良い習慣が育ち根付いていきます。
たとえば、「良いと気づいたことはすぐにとりかかる習慣」、「何事にも高い基準で取り組む習慣」、「計画通りにやりきる習慣」、「周りの人と力をあわせて一緒にやる習慣」などです。
環境整備で全社員が良い習慣を身につけ、働く環境も良くなれば、自ずと、社員の成長は促進されます。