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愛読者通信

「【コロナ時代に、新たな働き方で成長する経営】 在宅勤務で生産性が上がる会社、失敗する会社の『決定的な違い』」
近藤宣之氏(日本レーザー 会長)

「愛読者通信」著者インタビュー

 コロナショックで中小企業でも主流となった在宅勤務や時差通勤。多くの企業が新たな管理や評価手法を模索するなか、「70歳まで生涯雇用」「女性管理職3割」「同一労働同一賃金、実力主義の人事」などを20年以上前から実施しながら、26年一貫して黒字を維持する日本レーザー会長・近藤宣之氏に、「多様な働き方で生産性を上げる経営」の要諦を伺いました(2020年7月インタビュー)。

■著者/近藤宣之(こんどうのぶゆき)氏

著者/社員を幸せにしながら26期連続黒字を続ける、信念の経営者。 

東証一部メーカー日本電子の最年少役員だった氏は、1994年、2億円近い債務超過で倒産寸前に陥った子会社・日本レーザーの再建を託され社長に就任。リストラを一切行なわず2年で累損を一掃。雇用の確保と社員の成長・活躍支援を経営の最重要課題として掲げ、独自の幸福経営モデルへと改革。2007年、全社員の出資と個人保証6億円を負っての借入金で親会社から独立。同社を自己資本比率55%の実質無借金、10年以上離職率ほぼゼロの超ホワイト企業へと育て上げた。2018年より代表取締役会長。
第一回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞、中小企業長官賞、「旭日単光章」叙勲(令和3年)など受賞歴多数。著書・共著に「成果主義の課題」「ビジネスマンの君に伝えたい40のこと」「ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み」他。

【近藤宣之氏 セミナー開催のお知らせ】
2022年3月24日(木)
社員を生涯大切にして圧倒的な利益を上げる新手法!
中小企業の《新・幸福経営》
▼詳しくは日本経営合理化協会サイトをご覧ください▼
https://www.jmca.jp/semi/S227303

Q:新型コロナウィルス感染拡大に伴い、社員の勤務体制をどのように整えられましたか?

 わが社では、社員の命と健康を守ることを第一に考え、政府による2020年4月の緊急事態宣言前に、全社員在宅勤務体制を整えました。
 すでに3月の時点で強い危機感を抱いてましたから、早急に社内の基幹業務システムに外からアクセスできる環境を整え、手書きメモやファックスなどアナログ情報もデジタル化。営業員のみならず内勤の社員も合わせて全70名にモバイルPCとポケットWi-Fiを支給して、在宅勤務に切り替えました。
 会議はすべてZoomなどの電子会議ツールに切り換え、グループ長は朝・夕に自分のスタッフと会話し、1日に1回グループ会議も開催しています。

在宅勤務でも
密なコミュニケーションを取る

 とはいえ、ハード面を整えたからと言って、在宅勤務で生産性が上がるわけではありません。
 在宅勤務は一人ひとりにセルフマネジメントが求められるため、上司と社員、そして社員同士が密にコミュニケーションを取り、支援し合い、情報を共有することが大きな課題となります。
 ただし、わが社にはすでに、経営者や上司が社員に向き合う仕組みや社風が構築されていますから、在宅勤務になったからといって、慌てて手立てを構築する必要はありませんでした。
 具体的な施策を一つご紹介すると、嘱託のフルタイム勤務を含む全社員が毎週金曜日の夜までに、その週に仕事上や日常生活で感動したり、気づいたことと、誰にありがとうございますと感謝したかを書いて、上司・役員にメールで送るという「今週の気づき&感謝メール」という仕組みがあります。
 上司は、部下から毎週送られてくるこのメールに対して、必ずフィードバックを返信します。
 書いてもらう内容は、単なる業務報告ではダメというルールにしていますが、それ以外は何でも構いません。仕事のことでもいいし、家族や友人のこと、街中で目にしたことでもいい。
 目的はそれを報告させることではなく、気づいたことやありがたいと感じたことに対して自分はどうするのかを文章にさせ、上司が必ず返信する。このプロセスを経ることによって、わが社の求める人財の必須条件である「感謝」や「自責」「利他」などを思考習慣化することです。
 一方の上司は、部下の心情が理解できるようになるし、部下は時間を割いてフィードバックしてくれる上司への信頼感が増します。
 「仕事に関係ないことまで把握する必要はない」と思われるかもしれませんが、社員が仕事に全力で取り組める、働きやすい環境を整えるために、子供が熱を出したとか、親の介護があるなど、個々の事情に寄り添うことで、間違いなく会社に対する忠誠心や仕事に対するモチベーションを高めることができます。
 わが社のような70名程の会社でも、全社員の業務上のトラブル、ましてや家族の現状や日常どんなことを考えているかを把握することは難しいものです。しかし、「今週の気づき&感謝メール」を読めば、それが把握できます。
 これをスタートした2007年は私が一人で返信していましたが、幹部が育った頃からは彼らに任せています。私は双方のやり取りをCCですべて目を通しています。

子育て女性も再雇用シニアも
活躍できる仕組み

 そもそも、わが社は20年以上前から、多様な働き方で業績が上がる施策を構築してきたので、今回も混乱は生じませんでした。
 たとえば、現在、正社員とフルタイムの嘱託が合わせて60人ほどいますが、雇用形態は30種類くらいあります。
 正社員で短時間勤務の者もいるし、月のうち何日か在宅勤務を取り入れている者もいます。
 しかも、この勤務形態は1か月単位で変えることができます。今月は毎日出社するけれど、翌月は在宅勤務にするなど、社員の都合に合わせて、フレキシブルに仕事ができるようにしているのです。
 小さい子供がいる女性は残業できませんが、グループリーダーである場合もあります。
 こうした多様な雇用形態を採用できるのは、取引先1社に対して2人の担当を置く、あるいは1つの仕事に2人の担当者を置く「ダブルアサインメント」と、1人が複数の取引先や業務を担当する「マルチタスク」を採用しているからです。
 1社に2人のメイン担当者をつけることで、取引先に迷惑をかけることなく多様な雇用形態を採用でき、同時に1人が何社もメイン担当をもつことで、社員数の増加を抑え、労働分配率の上昇が防げます。
 当然、マルチタスクを複数社こなす貢献度の高い社員には多く報います。頑張った人にはきちんと報いる。一方、貢献度の低い人は給料は低いけど、リストラは絶対にしません。
 入社年次や年齢に応じて給与が右肩上がりに上がっていき、定年で一律退職させる年功序列型ではなく、貢献度や能力を公正に評価する実力主義の人事評価と賃金制度なので、多様な働き方でも皆が納得できる処遇ができるのです。
 実力主義ですから、正社員とフルタイム嘱託の処遇にもほぼ差をつけず、あくまで公正に貢献度や能力を評価します。
 だから嘱託社員もパートもみんな成長意欲が高く、再雇用シニアも子育て女性も中途採用者も外国人もイキイキワクワクと働いてくれます。

 

Q:従来の手法とはずいぶん違う経営をやられていますが、26年連続黒字となった最大の成功要因はなんでしょう?

 社員個人の考え方や行動、会社全体の社風に「圧倒的な当事者意識」「健全な危機意識」「共に生きていく仲間意識」の3つが浸透していなくてはうまくいきません。
 わが社は今回のコロナショックのように、経営環境の激変にも耐えられるように、新しいビジネスモデルを次々に構築して多角化していますから、社員には常に成長が求められます。
 同業他社と比べても、マルチタスクを行なう社員には2倍、3倍の情報量や知識量が必要です。 
 そして、誰かが休んだ時にみんなが「お互い様」の精神でカバーし合うわけですから、社員に「成長意欲」や「利他・貢献」がしっかりと浸透していなければ、「なんで、他人の分の仕事まで覚えなきゃいけないんですか?」「人が足らないなら、もっと補充してください」と、抵抗にあいます。
 そこで重要になるのが、「社員の幸福実現こそ経営の最重要目的、利益は手段であり結果だから利益至上ではダメだ」と、社長が腹をくくることです。
 わが社の経営の第一目的は、社員の雇用と成長支援です。それによって満足を得た社員が会社に対して誇りと愛情をもち、「会社と自分のために成長しよう」とモチベーション高く働いてもらうことで、顧客に高い満足を与えることができる。結果として会社にも利益をもたらすことができるのです。
 この理念実現のために、人事制度や採用や教育のやり方など、あらゆる施策を行なってきた結果が、26年連続黒字です。
 厳しいことを言うようですが、平時に「俺は社員を大切にしているよ」と言っている経営者が、コロナ禍のなかで、結局は人を切って利益に換える経営をすれば、社員の献身的な働きは得られません。笛吹けども踊らず、どんな優れたビジネスモデルと経営戦略があっても、絵に描いた餅になります。
 会社が社員を都合よく使おうとするだけでは、社員もまた、会社から与えられることしか考えなくなります。いかに自分が損をしないか、会社は自分に何をしてくれるかを一番に考えて行動するようになるのは当然です。
 とにかく、人口が減って高齢者が増えるこれからの日本で生産性を上げていくには、一社でも多くの中小企業が「働くことで社員も会社も幸福になる経営」をやることだと、私は考えています。

(聞き手:丹野悦子)

「愛読者通信」(2020年7月)掲載

 

【講師セミナー開催のお知らせ】
2022年3月24日(木)
社員を生涯大切にして圧倒的な利益を上げる新手法!
中小企業の《新・幸福経営》
講師:近藤宣之
(株式会社日本レーザー 代表取締役会長)

社員の幸福度と会社の業績は比例する!
日本レーザーの近藤会長が独自に築き上げた、老いも若きも、正社員も非正規も、
イキイキ働き、ドンドン稼ぐ、「幸福経営」のやり方をご指導いただきます。

・人を大切にして、圧倒的な利益を上げる経営の全貌とは?
・「社員の幸福」と「利益を最大化させる」経営戦略の構築法とは
・「社員のやる気」に火をつける、ぶら下がり社員をつくらない仕組み
・「多様な働き方」と「利益の最大化」を両立させる「実力主義」人事、など。

形式:会場(ホテル雅叙園東京)/オンライン

▼詳しくは日本経営合理化協会サイトをご覧ください▼ 
https://www.jmca.jp/semi/S227303

【経営合理化協会・関連YouTube動画】
著者が語るメッセージ動画「会社も社員も幸せ!新・幸福経営」 
https://www.youtube.com/watch?v=rZRILXjUw3I

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