お客様:40代の女性(主婦・奥様・母親)
お申し出方法:お電話
お申し出日時:月曜日の朝10時
商品:120円の清涼飲料
受け付けた窓口:メーカーである飲料会社のお客様相談室
主なお申し出内容:
120円の飲料のふたのところに貼ってあるキャンペーンシールを集めて応募をした。
キャンペーン期間中に、50枚シールを貼るシートを埋め尽くし、抽選対象となるシートを10枚送った。
発表は、約1ヶ月後ぐらいに、インターネットでそのメーカーのホームパージ上でされた。
お申し出のお電話をいただいたのは、その発表があって、3日ぐらい経った頃だった。
「当選者発表を見たけれども、我が家が当選していない。どういう抽選方法か教えてほしい」ということで、
抽選方法の100%の詳細は、お客様相談室ではわからないが厳正に行っていることを伝えた。
「その厳正と言うのはどういうことを行っていることを言っているのか」と詰問され、
「ご信頼いただきたい」と言うと、抽選をしている当事者に電話を代わるように求められた。
「それはできない」ことを丁寧に伝えると
「厳正にといいながら、結局はなにも特別なことはやっていないのではないか」
「知人や会社関係の人を優先して当選させているのではないか」
とおっしゃるので「そんなことはまったくない」ことを丁寧にご説明をした。
しかし、結局抽選をする人からの連絡を求められ、この電話では終結に至らなかった。
求めたいアドバイス:
このように、こちらのやり方に不信感をお持ちだったり、本来お客様と直接話す役割
ではない人との会話を求められた場合、どのように対応したら良いのでしょうか?
アドバイス:
(1)「当選者発表を見たけれども、我が家が当選していない。どういう抽選方法か教えてほしい」
と言われた時点で、抽選方法の説明をしたのが失敗です。
「我が家が当選していない。どういう抽選方法か教えてほしい。」と言う言葉で、
当選しなかったことに不満を持っているわけですから、企業側の事情である
抽選方法の説明をしてもまったく意味がありません。
(2)むしろなぜそんなに当選することを楽しみにしていたのか?
どの賞品を期待していたのか?
それは家族の中の誰が楽しみにしていたのか?
それが手に入った折には、どのように誰と楽しもうとしていたのか?
どれだけ苦労して集めたシールなのかなど、
お客様の事情を聞きだすことが最も、最初にやらなければならないことです。
(3)キャンペーン賞品のお話しは、そもそもは無料の物のことですので、
企業の担当者側もあまりにもこだわるお客様をうっとうしく思う気持ちは否めません。
私流心の声で言えば『タダの物のことで、そんなにガタガタ言わんといて~』というのが本音です。
(4)でも、そんなタダのものでも、お客様にとっては込み入った事情や、こだわりの深いもの
であったりすることがありますので、お客様の事情を一旦理解するという作業が必要です。
(5)私の経験から言いますと、「なんで、そんなしょうもないことで、そんなにこだわるの~?」
とあきれさせられるお客様には、必ずお客様なりの痛切な事情が必ずあります!
だから、「なんで、そんなしょうもないことで・・・」と言いたくなるお客様に対してこそ
たくさんお話しを掘り起こして聞かなければ失敗するのです。
(6)この事例の理想的な対応ですが、
「ご家族のどの方が楽しみにされていた賞品なのか?」などを聞き出し、
「必ずご理解いただきたい問題ですから、
抽選方法はその方に直接ご説明させていただきたい」
とお願いすることを提案します。
つまり、このお電話をくださった奥様も、お困りなのではないかということを発想してください。
賞品を楽しみしていた子供の不機嫌をどうしよう。張り切っていたお父さんのへこみ具合がいたたまれない。
そんな、この方なりの心の事情を、解決してさしあげることがすべての解決につながります。
中村友妃子
※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。