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第65講 クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(5)

クレーム対応 実践マニュアル

クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(5)
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】メールで飛び込んできたクレームにメールで『お詫び』や『説明』をしていませんか?

長々とクレームの詳細が記載されているメールに対応するのはちょっと注意!メールでのお申し出だからメールで必ず返さなければならないと勝手に決め付けていませんか?
メールで届いたクレームは、間違いのない対応のために、もっとたくさんお話しを聞く。

「メールのお申し出者はメールでの返事を望んでいると思うので、すべてメールで返事をしています」という対応は間違いです。そもそもメールで届いた知らない人の記載内容をすべて信じてはいけません。信じてはいけない理由の一つに、相手はその製品については素人ですから、名称を間違えて記載していたり、対応の際に重要となる話しが抜けているかもしれません。つまり記載内容が不完全ではないかと疑うべきです。二つめは、記載されている文章の行間には本当のお困り度合いや、戸惑っている事情が隠れているものです。記載されている内容だけをとらえて説明を返したりすると、心情が理解できなかったことで失敗を招くのです。三つめは本当はクレーム事例は発生していないのに、企業の出方を見て楽しもうとする人もインターネットの世界ではたくさんいることも忘れてはいけません。

正確なお返事や対応のために一度はお電話でお話しを。拒否するなら『疑い』を持って対応する

「メールで返事をください」といただいたメールの最後に記載されていることがありますが、だからと言ってそれに応じる必要はありません。企業のクレーム対応はお申し出者の希望をかなえることではなく、正確な事実をつかみ、間違いのない結論を出すことです。お申し出者の希望はどうであれ、一度お電話で詳しく製品の状況と心情をたっぷりお伺いすることを求めることが、メールで届いたクレームへの対応方法です。そのお願いに相手が拒否をするようであれば、すべてに疑いをもって対応することがより必要になりますが、これも間違いのない対応のための大切な情報の一つなのです。


【その2】『クレーム対応は毅然とした態度で!』を信じて相手を怒らせるような対応をしていませんか?

「企業にもできることとできないことがあるので毅然と!」「理不尽なお客様には毅然と!」とあなたにこの仕事を教えた先輩だって「毅然と!」を勘違いしてます。
『毅然』とは決して『淡々』と話し『紋切調に』話し『冷たく』話すことではありません。

企業の対応に無理難題を言われた場合は『毅然とした態度』で対応しなさいと先輩に教わったことがあると思います。そして『毅然とした態度』で対応をした経験もあるでしょう。その結果どうでしたか?お申し出者は冷静に引き下がってくれましたか?実際のところ、自分が毅然とした態度をとったことでよけいにこじれませんでしたか?よけいに相手を感情的にしてしまいませんでしたか?それはあなたに『毅然とした態度』を教えた先輩が解釈を間違えていたからです。『毅然とした態度』というのは、企業としてゆるぎのない結論をお伝えすることに違いはありませんが、「こちらもできることとできないことがありますので」とか「気に入らないようであれば訴えたらよろしいんじゃないでしょうか!」などと、相手にとって失礼な言葉を、ふてくされた声で言うことではありません。

やんわりと伝えて『あきらめていただく』ことに着地する。これが『毅然とした態度で伝える』

たとえお申し出者の不満足な結論であったとしても、企業としてゆるぎない結論を伝えるということを『毅然とした態度』と言います。でも、その時につい伝え方まで冷たくしていませんでしたか?
この場合の話し方には、揺るぎない結論をいかにやんわりと伝えることができるかという技能が必要です。相手にとって不満足な結論を差し出すのですから、和解することは望めません。目指すべき着地は『あきらめていただく』こと。どんなに怒鳴っても企業の結論は変わらないことを察知していただくためには、根気良く対応を続ける言葉を持つことが必要です。

いつもいつも『納得していただく』ことだけを目指すことはできません。クレーム対応のもう一つの着地は『あきらめていただく』こと。お申し出者のお話しを聞き、一通りの説明をさせていただく。
それでも一方的な要望が続くようであれば、やんわりと拒否をし続ける。根気の勝負。言葉をたくさん持っていないと、拒否し続けられなくなる。だから、根気に続く言葉をたくさん持っておくこともスキルとして必要です。


やんわり拒否ワード 例

  1)それは、いたしかねます・・・

  2)それは、できかねます・・・

  3)心苦しいのですが・・・

  4)お恥ずかしいことで・・・

  5)難しいお話でして・・・

  6)つくづく力不足だと・・・

  7)なんともお応えできる言葉がございませんで・・・

  8)今以上の言葉が見つかりませんで・・・

  9)私共では叶わないお話しでございまして・・・

 10)これまでに実ったことがないお話しでして・・・

 11)ご期待通りのお返事ではなくて・・・

 12)私の一存では・・・

 13)自分としても辛いのですが・・・

 14)歯がゆい思いですが・・・

 15)これ以降はなんとも・・・

 16)安易なお約束は・・・

 17)さらにご信頼を裏切ることはできませんので・・・

 18)これ以降はご厚意に頼らざるをえません・・・

 19)お客様のお気持ちにお任せすることしか・・・

 20)このお返事以外の術がございませんので・・・

中村友妃子          

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