menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第65号 BS「格言」 其の十六

会社を守り抜くための緊急対策

其の十六

中小企業のバランスシートは嘘(1)

 

 税法では経営は出来ません。
 中小企業の経営者や経理の方、この言葉の意味。ピンと来るでしょうか。
 
 極端なことを言いますと、中小企業の決算書は嘘なのです。言葉を代えていいますと、中小企業の決算書は、企業の実態を表してはいないのです。
 理由は、税法のための決算をしているからです。つまり、税金の計算のために決算書を作成しているのであって経営のためではないからです。
 税金のために決算をしてはいけないのか?
 そう思われたとしても仕方がありません。
 
 では、大企業は、税金のための決算をしているのでしょうか。答えはNOです。企業実態を出来る限り正確に表す為の決算を行っています。
 両者は一体、何が違うのでしょう。
 一番、簡単な例でいいますと、貸倒れがあります。
 税法では、業種別に法定繰入率というものが決まっていて、ほとんどの中小企業がこの繰入率を使用しています。
     業種        法定繰入率
  卸売業・小売業    10/1000
  割賦小売業      13/1000
  製造業         8/1000
  金融・保険業      3/1000
  その他         6/1000
 
 例えば、小売業で売掛金が5000万円あり、法定繰入率を使用しますと50万円になり、この金額が損金経理できる限度額になります。
 この法定繰入率は資本金1億円以下の企業のみの適用なので、ほとんどの中小企業がこの対象になります。
 ちなみに、貸倒引当金の繰入限度額の計算方法には、今の法定繰入率以外に貸倒実績率による方法があり、有利な方(繰入限度額が多い方)を選択することができます。
 貸倒実績率による繰入限度額は、金銭債権の合計額に過去3年間の貸倒損失額の発生割合(貸倒実績率)を乗じて計算します。
 式は次の通りです。
 貸倒実績率=(過去3年分の貸倒損失の額の合計額×12/36)÷(過去3年分の一括評価金銭債権の合計額÷3)
 
 例えば、売上債権が5000万円の場合、先ほどのように小売業では、法定繰入率は10/1000なので50万円が損金計上限度額になります。
 仮に、本当に貸倒れの危険がなくても50万円は損金に算入でき、それだけ利益が過少に計上されます。
 この段階ですでに決算書は企業の実態を表していないことになります。
 
 逆に、取引先の中で、危ない会社あり、そこに対する売上債権が600万円あったとしても、損金にはおちないという理由で、費用として計上しないのです。
 これが税法上の決算書の実態なのです。
 会計上では、600万円は費用になり、それだけ利益は少なくなります。これが本当の実態です。
税務上では経営できない典型例です。
 
 ちなみに、先ほどの回収できないかもしれないという600万円は、税法では損金にならないので、別表四で加算修正しなければ税金の計算は出来ません。
 
 大企業の申告書は、別表四での修正は山ほどあります。
 このような修正が面倒なので、中小企業は決算書も税法に合わせたほうが楽なのです。誰が楽かと言いますと、税理士です。税理士は税金の計算が業務なので、それ以上のことをあえてしません。
 また、したとしても、顧問料は上がらないため、税理士からすれば余計なことはできない現実があります。
 
 しかし、再度、言います。それでは企業の実態を表してはいません。
 会計では、600万円も費用として計上しなければなりません。
 
 もう一つの典型例の減価償却費は次回お話しします。
 
 
 
 

書籍 海生裕明著『連結バランスシート経営で会社を強くする』好評発売中

 

第64号 BS「格言」 其の十五前のページ

第66号 BS「格言」 其の十七次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」(年間スケジュール)

    セミナー

    社長のための「お金の授業」(年間スケジュール)

  2. 公私混合経営マニュアル

    公私混合経営マニュアル

  3. 「公私混合で考える《経営と蓄財》」

    音声・映像

    「公私混合で考える《経営と蓄財》」

関連記事

  1. 第66号 BS「格言」 其の十七

  2. 第41号 売上に直結しない支出

  3. 第83号 BS「格言」 其の二十九

最新の経営コラム

  1. 第7回 新規の売り物・売り先が10%以上占めており、売上総利益を落とさない会社

  2. 第24話 政府が推進する「人的資本経営」と中小企業の人事戦略

  3. 第253回 社長の一問一答「男性社員の育児休暇取得について」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(2) 敗戦に学ぶ家康
  2. マネジメント

    第108回 『時間×情熱×方向性=成功。の法則』
  3. 戦略・戦術

    第256号 6兆7000億円
  4. 社長業

    Vol.72 会社の中味を3年前に比べ、どう変えましたか?
  5. 社長業

    Vol.64 社長の重要参謀「有能な税理士の条件」
keyboard_arrow_up