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第62講 クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(2)

クレーム対応 実践マニュアル

クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(2)
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】『責任』という言葉を使えば相手は認めて、引き下がってくれると思っていませんか?

「私が責任者です」「責任をもって」と安易に『責任』を使わない。
『責任』という言葉は相手を苛立たせ、「どう責任が取れるの?」と言わせてしまいます。
本当はあなたには『責任』はとれません。なぜなら一担当者のあなたには、それ相当の肩書きも権限もないからです。

クレーム対応担当者のほとんどは、だれもが一目おくような肩書や権限を持っていないのが実際です。その会社でのキャリアや関わる業務のレベルをわかりやすくするために、肩書を与えられることはありますが、その肩書きにそれ相当の権限が添付されていることは少ないのが現状です。いつも会社の問題は、トップの意向をふまえて会社の者たちで話しあって結論が導かれ、ただ結論を相手に伝えると言う作業を担うのが、クレーム対応担当者の中で肩書きを持つあなたということになるわけです。会社から「あなたがお客様対応の責任者だから」と言い渡されたかもしれませんが、それはあなたの士気を高めるために言っただけであり、「お客様対応に関するすべての権限をあなたに預けます」と言われたのではないことを認識してください。

クレーム対応に『責任』はNGトーク!お客様はあなたの権限を必ず詰問します。

「この部門の責任者の**でございます」「この問題は責任をもって私がお返事いたします」「今回の問題には、私共にも責任がございますので」など、ついお申し出者との会話の中で『責任』という言葉を使ってしまいますが、その次の瞬間お申し出者は必ずこう言います。「責任者ってあなた役職はなんですか?」「責任をもってといいますが、あなたにはどんな権限がありますか?」「責任がございますのでと言いますが、どう責任をとってくれるの?」と。そしていきなり次の返事に困ってしまうのです。肩書きも権限もない担当者は『責任』は使わない。


【その2】会社から言われた『企業の看板を背負った企業の代表』に重圧を感じていませんか?

クレーム対応という仕事は『企業の看板を背負って、企業の代表として対応する』のではありません。企業とお申し出者のもめごとを客観的に解決する『仲裁』という仕事です。
あなたは『企業の看板も背負って』いませんし、『企業の代表』でもありません。

実際は『企業の看板を背負って』いると言うに値する権限は、与えてもらえていない担当者がほとんどでしょう。『企業の代表』というよりも『企業の一員』という程度の権限しか持っていないと言うほうが正しいでしょう。『企業の看板や代表』の言葉はあなたのこの仕事への士気を高めるために使われた言葉であって、お客様と向き合う中でこれらの言葉にプレッシャーを感じる必要はありません。クレーム対応という仕事は、『製品の状況』と『お客様の心情』をつかみ取り、双方が歩み寄れる結論を手法や技法を使いながら見出し、双方に伝え、引き下がる気持ちにさせるといういわば『仲裁』をする仕事だと考えるべきです。ただ、あなたはあくまでも企業側の担当者ですから、表面上は企業の担当者が困惑している態度は必要です。それも重要なクレーム対応の技法の一つですから。

『企業の看板を背負っている』と思うから、無理に会社を守る対応になって相手を怒らせてしまう

クレーム対応担当者のあなたは、『いつもこのお申し出内容を客観的にとらえる』ことです。この製品の不具合はなにがどうなっているのか、それはどこの現場でどのような作業が原因なのか、このサービスへの不満は何を期待していた上での不満なのか、その期待と実情の齟齬はどこで発生したのかを探していくことがあなたの仕事であって、一方的に会社を許してもらおうとすることではありません。まずは、企業の担当者である言葉遣いや態度を守りながらたくさんお客様から情報をいただき、深い心情を聴くことが基本の仕事です。ただそれだけのことなのです。

 

中村友妃子          

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