【19】お部屋を退出するときは、あなたが前を歩いてさっさと玄関へ
気持ちを伝えるものをお渡ししたら、自分からクロージングをしてください。
「それでは、あらためてご連絡させていただきます。本日はたいへんおじゃまいたしました」
と、クロージングトークを言いながら、荷物やコートをまとめ、言い終えたとともに自分から腰をあげます。
さらに、お家の方の目の前を恐縮するように少し腰をかがめて、玄関までの道のりの先頭に立ち、
自分から玄関に向って歩いてください。決して、お家の方を先頭にする必要はありませんので、そのおつもりで。
【20】お辞儀をしながら扉をしめる。門扉は丁寧にゆっくり閉める
帰れるまでもう少しですから、あとちょっと油断せずに頑張ってくださいね。
さて、玄関に到着し、靴を履き一礼をし、扉を開けて1歩、外に出ますが、そのままで最後のマナー。
その扉を閉めて行く途中、あと30センチほどで閉まるというところで、
お辞儀をし、実はこのお辞儀のまま、残りの30センチを閉じるのです。
お辞儀している姿を最後に見ていただきながら、お別れしていきましょう。
さらに、戸建てのお家の場合、門扉が設置されていることが多いので、注意して
いただきたいのですが、門扉はけっこう音が響く材質でできているものが多いので、
ゆっくりと、音がしないように閉めることに神経を使ってください。
もうお家の方が見ていないからといって油断してはいけませんよ。
あなたはそれほど乱暴に閉めたつもりはなくても、門扉の音がカン高くお家の中に
聞こえてしまうことがあります。「帰りがけの、あの門扉に閉め方はなんですか!!」
と会社に戻ったらすでにお怒りの電話が入っていたという話はよくあります。
【21】コートを着たり、会社に電話したりは角を曲がってから
最初と同じようにお申し出者のお家から目が届く距離の中ではまだ、気を抜かないでください。
お家の2階の物干し台から、マンションのベランダから、洗濯物を取り込もうとしたお家の方が
偶然あなたの振る舞いを見てしまうということがあります。
まずは、コートの着用は、次の交差点まで辛抱。
会社に報告の電話をするのも、その交差点を曲がってから。
また、ご近所の目もありますから、お申し出者にあなたの態度の悪い噂が耳に入ることのないように。
せっかく、ここまで大きな問題もなく運んだのですから、誰かに見られていることをお忘れなきよう、
最後までしっかりと行動をとってくださいね。
【訪問対応時の九つ道具】
(1)交換品――問題の現品と相当金額のもの。
(2)返金――現品お買い上げの金額の金銭をつり銭のないようにそろえる。万一、交換として、「品物は嫌!」と言われた場合に、お買い上げいただいた証拠があれば活用する可能性がある。
(3)領収書――返金金額を記載した領収書。相手に返金をした場合に、受領済みの証拠としてサインをいただく。
(4)お礼品――お申し出者のお買い上げ金額にかかわらず1000円程度のお菓子。
(5)現品持ち帰り用包材――私はケーキを回収することが多かったので、いつもタッパーを持参していました。
飲料の回収や、壊れやすいものの回収などの場合、容器は必要です。
(6)録音機器――訪問対応のたびに常時、使用するのではありませんが、
ココゾ!と言う時、イザ!と言う時のために必携をお勧めします。
(7)懐中電灯――日が暮れるとなかなか、目指すお家の表札が見づらくなりますので、これも必携です。
(8)名刺――いつも、お申し出者とお会いするやいなや提供するとは限りません。
お名刺をお渡ししても悪用をしたりしない人がどうかを判断してからお渡しすることが好ましい場合もあります。
(9)お申し出者のご住所とお名前とお電話番号・地図記載物――
当然のことのように思いますが、注意をしてほしいのは、お申し出者のご住所、
お名前、お電話番号の記載されたものは個人情報以外のなにものでもありませんので、
どこかにうっかり置き忘れないように。
さらに、お申し出内容が詳しく記載されたものは持参しないことをお勧めします。
なぜなら、「~でたいへんお怒りの様子」なんて記載されていたりしたものを万一、
お申し出者宅で置き忘れたりした場合、お申し出者の立腹が高まります。
そうなると想像がつくかと思いますが、本来の製品不満の問題よりもこの問題に対する
修復に膨大なスタミナと時間を注がなければならなくなるのです。ひゃあ~、恐ろし。
中村友妃子
【出所・参考文献】
『クレーム対応のプロが教える“最善の話し方”』(青春出版社刊)