賞与をめぐっては「給料の後払い」「生活補填の一時金」など生活給の一部的な主張もありましたが、現在では「会社業績の従業員への還元」「貢献度に応じて配分する臨時給与」という考え方が常識となっています。
「ようやく4月の賃金改定が終わったと思っていたら、すぐに夏季賞与です。わが社では前期までの支給実績を確認し、営業実績の推移を慎重に考慮しつつ、基本給ベースで、たとえば平均1.5ヶ月と仮決定し、金額を積み上げ、調整を加えて、賞与総額を決めています」と多くの社長がお答えになります。
このように計算すれば、「総原資」はいくら用意すべきか、賞与総額を決めることができます。併せて、従業員一人ひとりにいくら支給するか、配分の問題を同時に解決しなければなりません。この配分も、そのまま基本給比例で等しく1.5ヶ月支給するだけであればさほど難しくないかも知れません。
しかし「頑張ってくれた社員、貢献度の高かった社員には、より多い金額を支給して、努力に報いたい」。賞与は評価され報われたと実感できる、社員にとってもモチベーションを高める絶好の機会です。それは社長の気持ちでもあり、好循環を実現しようと努める企業の意思とも言えます。年2回、賞与支給を前に勤務成績の評価(成績評価)を実施する目的もそこにあります。
このように考えれば、賞与は、まず会社業績に連動して「総原資」を決めて、次に勤務成績に応じて「個別配分」を決めればよいことになります。この「個別配分」を確定するためには先に実施した「成績評価」の結果を正しく反映させる合理的な配分ルール(計算式)が必要なことは言うまでもありません。
基本給1ヵ月に評価分プラスαで金額を決める方法もありますが、重視すべき原資は一定期間の利益の一部であり、その配分は「対象期間の貢献度(勤務成績)で決める」という原則が最も重要です。
この原則に基づいて考えれば「役割責任=責任等級」で同じ等級=職位(評価グループ)での貢献度を評価した場合、成績の良し悪しと、月例給与の多い少ないは別の話であり、基本給を根拠とする基本給比例配分と貢献度を評価して決める成績比例配分は話を別けて考えなければなりません。
つまり責任等級(職位)別に「過去半年間の成績評価」の結果を点数化する「等級別成績別配分点数表」によって、等級ごとに、個々の社員の成績別持ち点を確定し、別途計算しておいた1点単価を掛けて成績比例配分額を決定する方法が最も合理的です。この方法を取れば、同じ責任等級内での成績に相応しい配分金額が計算でき、基本給の多い少ないに煩わされることのない成績評語別賞与支給が可能となります。
この成績比例配分賞与の考え方および等級別成績別配分点数表の仕組みについてお知りになりたい方は賃金管理研究所にお問い合わせください。
賃金管理研究所 所長 弥富拓海
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