ロシアによるウクライナ侵攻が長期化。
この先、さまざまな影響が出ることが懸念されています。
先行き不透明な状況の中、この先を見据える上で、
“歴史”を見る眼や考える力が、今まで以上に不可欠です。
「歴史は繰り返す」という原則に基づき、過去の例から何らかのヒントを見出す。
今起きている出来事を分析、咀嚼し、未来を予測する。
後世から顧みると、今この時代が歴史の転換点になっているかもしれません。
そこで、経営者やリーダーに、ぜひとも読んでいただきたいのが、
『歴史とは何か 新版』(著:E.H.カー)
です。
約60年前に出版され、現在に至るまで90刷以上を重ねる
ロングセラーで、ベストセラー、
(岩波新書)の新版が、満を持して登場。
この新版のポイントは2つあり、
1つはイギリス近代史が専門の東大名誉教授、
近藤和彦氏による翻訳と注釈。
『歴史とは何か』は、歴史や国際政治を学ぶ際の必読書として知られ、
折にふれ、引用される古典的名著ですが、
同時に、やや難解なことでも知られています。
手にとってみたものの、途中で挫折した人は数知れず。
しかし、今回の新版では、翻訳自体が読みやすくなっているのに加え、
訳者による脚注も随時あり、非常にわかりやすくなっています。
名著と知りながらも難解との評から避けていた人や、かつて挫折した人も、
安心して楽しめるはずです。
2つめのポイントは、今回、新たに加わった内容です。
具体的には、著者のカー氏本人による未完となった第二版への序文、
カー氏が遺した文書、さらには、自叙伝も加わっています。
これらも大変興味深く、既に『歴史とは何か』を愛読している人でも、
新たに買い求める価値あり、と言えます。
もちろん、核となるべき本文は、改めて、現代を生きる人たちに必読のものです。
そもそも本書はケンブリッジ大学での連続講義が元になっており、
タイトルどおり「歴史とは何か」という根本から、読者に問いかけてきます。
数多くの書籍で引用され、名言集に収録されることもある
「歴史とは、現在と過去との対話である」
という著者の有名なフレーズは、本書から生まれました。
我々は、歴史をどのように解釈すればよいのか?
歴史とどう向き合うべきなのか?
歴史に留まらず、社会を見る眼や思考力を研ぎ澄ませるのにも役立つことが、
続々と出てきます。
また、古今東西の歴史家だけでなく、古代ギリシャから近代の哲学者や思想家の言葉も
随時引用されていて、教養の充足にもつながります。
読み進めるほどに、本書がなぜ長年に渡って売れ続け、
今回、新たに新版が登場するようになった理由もわかるはずです。
自らの歴史観をレベルアップさせるためにはもちろん、
この先の展望、経営計画を考える上でも役立つこの一冊、
ぜひとも読んでみてください。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『ハイドン:交響曲第94番(驚愕)、100番(軍隊)、101番(時計)』
(指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
ハイドン:交響曲第94番(驚愕)、100番(軍隊)、101番(時計)/amazonへ
です。
“交響曲の父”こと、ハイドンの通称「ロンドン・セット」の中から3つの名曲を収録。
ロンドン北郊生まれの著者カー氏への敬意をこめて選びました。
巨匠カラヤンとベルリンフィルによるこの名演、
本書と合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。