夏休み、いかがお過ごしになられたでしょうか?
学生や子どもたちはもちろん、社会人にとっても、
夏休みは一年における楽しみの1つ。
欧米人のバカンスのように、
1ヶ月の長期休暇とまではいかなくとも、
社会人にとって、貴重なリフレッシュ期間ですよね。
思えば、日本社会において、
自ら望んで長期休暇をとる、ということは
めったにないですよね。
取りづらい、というのが実情、とも言えますが。
日本では、一度就職したら定年まで
休みなく走り続けるのが基本。
倒産やリストラなど、本人が望まない形で
「空白期間」が生じることは、あるでしょうが…。
では、実際に、空白期間が生じたとき、
あるいは、仕事を続けている中で、
「心の空白期間」ができたとき、
一体どうするか?
思わぬ壁にぶつかることは人生において避けられないことであり、
全ての人にとっての課題であります。
今回ご紹介する一冊は、
『空白』 井上雄彦 (著)
です。
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著者は、かつては『スラムダンク』、
現在は、車椅子バスケットボールを描いた『リアル』、
そして、宮本武蔵の修行の旅を描いた『バガボンド』で
絶大な人気を博している漫画家です。
その井上氏が、体調面の理由などもあって『バガボンド』の連載を中断。
それから、連載再開まで1年半。
その空白期間に、一体何を考え、何をしてきたのか?
休載前、及び1年半のブランク、
連載再開後に至るまでの2年間にわたって、
計8回のインタビューを中心に、
克明に心情が綴られているのが本書です。
時系列ごとに並んでいますので、その時々の心境、
気持ちの変化がよくわかるのが、最大の見どころです。
連載というものに対する怖れ、
人気作家ならではの苦悩、
体調の悪化…
休載を決断した背景には、心身ともに精根尽き果てた感が読み取れ、
生みの苦しみの大きさを感じずには、いられません。
そして、その闇の中から、いかに復活していくのか!
日々の仕事や暮らしの中で、形は違えど、
何も手につかないような疲労感を覚えた人なら、
一層、響くところがあると思います。
今、何か壁にぶつかっている人、
人生の岐路に立っている人、
暑さで弱っている人、
立ち上がる力が欲しい人、
きっと何かが見えてきます。
元気が出る一冊です!
尚、本書を読む際におすすめの音楽は、
シューベルト:交響曲第8番「未完成」&第3番
カルロス・クライバー指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
です。
シューベルト:交響曲第8番「未完成」&第3番/amazonへ
未完成のままの名曲が、これから続く我々の人生と重なるようです。
ぜひお楽しみください!
では、また次回。