ウィーンから帰国後、東京、大分、福岡、山梨…と
約1ヶ月にわたって講演の旅が続きました。
ぼくの講演は、まさに音楽同様にライブといいますか、
いろいろな意味で一体何が起きるかわからないのが
普通になっています。
このたびも、たとえば、
現地で、全く読んだこともない本や
詩の朗読をいきなり要望されたり、
学校に到着してから、テレビの収録が入ることを知ったり、など
エピソードには事欠きません(笑)。
ライブという生の世界で生きる以上、
いかなるハプニングにも対応できるよう、
心も含めた準備が大切。
日頃からいつも本番を意識して過ごしています。
備えあれば憂いなし、とは
よく言ったものだなぁ、と折にふれ感じる次第です。
今回紹介する
『そなえ ~35歳までに学んでおくべきこと』
野村 克也 (著)
は、まさに準備の大切さが、心に響く一冊。
“35歳までに”という副題が付いていますが
読んだところ、全然といっていいほど関係ありません(笑)
早く知れば知るほど望ましい、というのが
正確なところかと思います。
本書からの学びは、生涯役立つ!
そう断言してもいいほど濃い内容になっています。
「プロフェッショナルのプロとは、プロセスのプロ」
と考えていた野村さんは、監督時代、
選手たちに準備の大切さをうるさいほど説いてきたとのこと。
「結果の裏側にあるものは何か―。
プロセス、すなわち過程である。
よい結果を生むためには、よいプロセスを踏むことが必要であり、
きちんとしたプロセスを踏むからこそ、よい結果が出る」
「準備とは、言葉を換えれば『意識づけ』である」
「ただ漠然と目の前の仕事に取り組むのと、
しっかり準備をしてそなえるのとでは、
成功する確率は格段に変わってくる」
「人はプロセスによってつくられるのである」
など、準備に関する名言が、次々出てきます。
中国古典からの引用も随時見られ、
野村さんの知の背景が垣間見えてくるのも
興味深いところです。
天才でない人間が、一流になるためにはどうすればいいか。
一流であり続けるには、何が必要か。
ビジネスマンはもちろん、全ての人間にとって
必要な教え、土台となるべきものが
本書にはあります。
今後のために、また年の瀬を前に、
今の自分を振り返るためにも
ぜひとも読んでおきたい一冊です!
尚、本書を読むのにお薦めの音楽は、
バッハの「ブランデンブルク協奏曲」
(指揮: レオンハルト、ソニーレコード)です。
バッハ/ブランデンブルク協奏曲<全曲>/amazonへ<全曲>
野村監督の名言の数々や優れた思想が
バッハの名曲、レオンハルトらの名演によって、
気持ちよく頭に入ってきますよ!