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税務・会計

第87号 BS「格言」 其の三十三

会社を守り抜くための緊急対策

其の三十三

バランスシートの回復には時間がかかる

 
 
 バランスシートは一度悪くなるとなかなか良くなりません。なぜなら、バランスシートは会社設立から今日までの経営の結果だからです。
 だからこそ、バランスシートの動きを見守ってあげる必要があるのです。具体的にはバランスシート月次残高推移表を作成し、少しの変化をも見逃さない気配りが必要なのです。
 そしてバランスシートを強くしてあげる必要があるのです。
 
 もちろん、悪化したバランスシートをいきなり改善できることもあります。
 それは増資です。増資を行えば、確かに短時間で体裁は整います。しかし、バランスシートが悪化した原因を排除しなければ、また同じ結果になってしまいます。これでは増資をした意味がなくなります。
 この増資ですが中小企業にとっては限界があります。オーナー会社であれば、社長が自己資金を会社に出資しなければならないためです。
 
 では、オーナー会社において第三者が出資をする場合はどうなるでしょうか。
 例えば、資本金を1,000万円、発行済株式数を200株、発行価格を1株5万円とします。
 仮に2,000万円の増資を行う場合、それを第三者が全部引き受けるとします。オーナー社長がオーナーを維持するためには、社長は、最低でも51%の株式を保有しなければなりません。具体的な株式数は、第三者は最高で199株になります。2,000万円を199株で割りますと、10万円強となります。
 つまり、株価が5万円から10万円に上昇したことになります。
 大切なのは、1株10万円の根拠です。簡単な計算をしますと、会社の純資産を株式数(200株)で割った金額が10万円になるかどうかです。
 これをクリアできなければ、増資はできません。
 
 だから、通常は、売上計上→利益確保→バランスシートの財産増加という流れのなかでバランスシートの改善を図ることになります。だから、時間がかかるのです。
 
 ここで、中小企業経営における3つの壁の話をします。
 「借入の壁」 社長が個人的に借入れをするにしても、湯水のように借りることはできません。その対策として、資金調達の窓口はひとつより複数あった方がやはり安心でしょう。
 暴力団排除条例の存在は知っていても、資金が必要であれば、そこに足が向いていくこともあります。いけないこととは分かっていても、会社を何とかしたいという一心なのです。
 しかし、そんなことをしますと、本当に泥沼にはまってしまいます。
 やはり、ここは我慢しましょう!
 
 「出資の壁」 先ほどもお話しした通りです。
 オーナー社長は、第三者からの投資にはとても慎重になります。自分の会社ではなくなるから当然のことです。実は、上場を躊躇する瞬間が、「自分の会社でなくなる」と感じたときなのです。
 自分の会社に投資するとき、不安と恐怖を感じることがあると思います。それだけ会社と事業にリスクがあるということになります。
 会社のリスクを知らない社長があまりにも多いので、これは逆にチャンスです。最低10個、事業のリスクを書いてみましょう。
 普段は、自分の会社のリスクを意識しない社長でも、自分の会社に投資をすることを考えたとき、何かしら、怖くなるものなので、このようなとき、リスクを書き留めておくといいのかもしれません。
 
 「売上の壁」 これ以上、なかなか売上が上がらなくなる時があります。そのようなとき、とにかく売上をあげようとしますと逆に経費がかさみ、利益が少なくなっていきます。
 これが売上の壁です。
 原因は社長にあります。とかく創業時は社長が売上のほとんどをあげているものです。それが当然だと思っていますし、先ずは、他の人以上に売上を上げなければ社長として格好がつかないこともあります。
 しかし、社長個人で売上を上げることは必ず限界がきます。
 3億円までは順調に売上が上がったにもかかわらず、そこからどうやっても増加しない会社がありました。
 営業を増加しても変わりません。
 何がいけないのでしょうか。
 たんに営業マンを雇用しても、結局は、社長の力が大きな会社は、時には、社員が萎縮することもありますし、自分達ができなくても、結局は社長が売上を作ってくれるという甘えもあるかもしれません。
 社長がすべきことは、徒に営業マンを増やすことではありません。
 社長の分身を自らが探すべきなのです。自分の分身であれば、同じ売上を上げることができるはずです。
 自分の分身を育成することなく、社員数だけ増やし、組織を大きくしても、経費がかさむだけです。
 自分の分身の育成ができなければ、売上は現状維持かもしれませんが、それはそれで良し! とすべきなのです。
 
 
 
 

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