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- 第178回 『社長に勉強の意欲がなければ、勝ち組にはなれない』
『勝ち残る企業の条件』というテーマで、講演を頼まれることが多い。
対象は、全国の中堅・中小企業の社長がほとんどで、
時に、大企業の役員の勉強会などからも声が掛かる。
講演会の事前打合せのときに、私が先方の責任者に必ずする質問がある。
「今日の参加企業の中で、直近の業績が黒字のところは何割くらいですか?」
要は、会場に100人の社長がいれば、
会社を儲けさせている人は何人くらいいるのか…ということだ。
これに対する返事に面白い共通点があって、最大公約数的にまとめると、
「こういう勉強会に社長が顔を出すような会社は、
結構うまくいっているようです。まず70%は黒字でしょう。」
という答えである。
日本の全法人で赤字会社が占める比率は72%という統計があった。
中小企業に絞れば、さらに高い比率に違いないだろう。
以上からいえることは、
全国平均で見た場合には、黒字会社は全体の約30%を占めているのに対し、
勉強会に社長が出席するような企業の場合は、70%にも及ぶということである。
そもそも、トップが講演会や勉強会に定期的に足を運ぶという会社には、
いくつかの共通的特徴がある。
第1に、会社の経営が、そこそこうまくいっている。
第2に、社長にある程度の時間の余裕がある。
第3に、どこどこにこういう勉強会の場があるという情報源や人脈がある。
……などの特徴が思い浮かぶ。
だが何といっても、最大の特徴は、
「社長に勉強する意欲がある」ということである。
If you think you are good enough, you are finished. という表現がある。
「自分は十分デキるから学ぶことなどないと思った瞬間に、その人はおしまい」
という戒めの言葉である。
ピーター・F・ドラッカーは、
「優れた経営者に見られる最大の特徴は、日々の自己革新を怠らない人である」
とも言っている。
企業を倒産の場に追い込んだ社長たちが話し合いの場を持った。
「われわれが会社を倒産させた原因はなんだったのか?」というテーマで、
それぞれが意見を述べた。
最大の原因として衆議一決を見たのは《傲慢》だったという。
経営者はそれ相当の自信をもっていなければならない。
だが、一寸気を緩めると自信は過信に流れる。
過信が高じると慢心に化け、
慢心の行方には傲慢という化け物がパックリと口を開けて待っている。
傲慢の行く先は、破滅であり倒産である。
自信と過信の差とは、
前者が「人から学ぶ気持ち」があるということで、半面、
「自分は十分デキているから、学ぶことなどない」と思い込んだ瞬間に、
自信は過信に変身する。
好業績の会社のトップが謙虚さを失わずに勉強を重ねたときに、
業績はますます良くなる。
ダメな会社のトップが学ぶことを怠ったときは、会社はますますダメになる。
勝ち組と負け組の差は、トップの「学ぶ心」の有無にある言えるのではないか。