先月7月23日~25日の三日間にわたり、日本経営合理化協会主催の第128回夏季全国経営者セミナーが開かれました。全国から600名を超える経営者の方々がパレスホテル東京に参集され、三日間にわたり朝早くから夜遅くまでガッチリ勉強をされる様子は圧巻でした。
その中で、私も指導先の大塚産業マテリアル株式会社の大塚敬一郎社長とご一緒に、「カイゼン提案活動で 『工場の売り上げも利益も社員実力も伸びる!』 実践報告」というテーマでお話をさせていただく機会を持ちました。
そこで今回は、いつもの「儲かるメーカー 改善の急所101項」を題材にした内容はお休みして、経営者セミナーでお話しした内容について書いてみたいと思います。
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私が自分のことを「現場改善のコンサルタントです」と紹介すると、「現場改善というと、製造業が好きな〝乾いた雑巾を絞る〟ってやつですよね。相変わらずそんなことをしていて、本当に役に立つのですか? 」と、聞かれることがあります。
私の答えは、
もし、現場改善を製造現場の人たちだけでやっているのだとしたら、この厳しい時代に生き残ることはできません。しかし私たちがやっている改善は、社長も管理職も一般従業員も、そして製造はもちろん営業も設計も調達も管理も、みんなが一緒に現場で、現物を前にして改善を実行します。
その上で、更によくするには設計を変える必要があるなあとか、営業と製造のコミュニケーションをもっと活発にしたいねとか、モノの買い方はもっとチョビチョビギリギリにしたらどうか…など、全社的な問題を見つけます。
そして、社長を中心にそこにいるみんながワイワイガヤガヤとモノを指さしたり触ったりしながらおしゃべりをして、その場で改善実行を決めてあらゆることを変え始めます。
その結果、現場はもちろんですが、全社のあらゆる問題がみんなの協力のもとに全体最適の形で解決され経営がよくなるのです。こういう、みんなで雑巾を絞る現場改善をしていれば生き残り勝ち進めます!
…このようにまず最初に結論を言ってしまいました。
理由は、実際にはそのようになっていない会社が多いからです。日本の製造業は、以前のような輝きを失っていると言わざるを得ないところも多いのです。
なぜ、日本の製造業は力を失ったのでしょうか? 答えの一つとして「アナログの時代に日本の製造業の強みであった 『すり合わせの技術』 が要らなくなったから」というのがあります。
ブラウン管時代のテレビの画像調整や、電子制御でなかった頃の自動車のエンジンの回転調整は実に複雑で、微妙な仕事でした。ところが、当時の日本の工場では、この難易度が高い仕事がいともたやすくできていました。
ですから、当時の日本製は本当にダントツで品質が良かったといえます。
ところが、多くの商品がデジタル化され、コンピュータ化された現在、すり合わせの技術がなくても良い品質の商品が作れるようになり、その結果、日本の製造業は力を失ったと言われます。すべてではありませんが、確かにその通りだと思います。
しかし、物理的なすり合わせ技術は要らなくなりましたが、実は日本にはそれよりももっとすごいすり合わせがあるということに気付いてほしいと思います。
それは、「知のすり合わせ技術」です。冒頭申し上げました、みんなが現場で現物を前にして、それぞれがそのモノと自分の役割や考えを語り、ワイワイガヤガヤと議論をしながら社長をリーダーに、ドンドン会社を変えていってしまうというすりあわせです。
これは日本でしかできない経営改革の方法です。
日本でしかできない! ということはそれをどう使って世界と戦うのか?・・・続きは次回にお話しいたします。
◎第128回夏季全国経営者セミナーでの柿内氏と大塚産業マテリアル・大塚社長の講演録CDはこちらからお申し込みいただけます
【3時間で効果絶大!「KZ法(全社改善活動)」公開】
工場の収益も、社員の実力も伸びる!CD
今回私と一緒に講演をして下さった大塚敬一郎社長の大塚産業マテリアル株式会社は創立300年のすごい会社です。ホームページには改善活動の様子も載っています。ご参考になさって下さい。http://otks.jp/material/html/kaisha.html