◆ART-Meter(アートメーター)◆
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インターネットサイトからスタートし、07年春からは自由が丘に実店舗も構える『アートメーター』は、 絵画を「測り売り」で委託販売しているユニークなショップだ。 プロもアマも問わず、一般から集めた絵の原画は1平方センチメートルあたり3円。 売上実績によって設定価格はUPできるが、基本的に「○平方センチメートル だから○○円」 という明瞭会計でアート作品を買えるわけだ。 売上の65%が画家の取り分、残りが運営側の取り分となる。 これまでの取扱作品数は約1万点以 上。そのうち4000点ほどを販売してきた。 登録画家は約1500名いる。 このサービスを立ち上げたのは、ブログパーツの制作やECサイトの企画運営などを手がける IT関連企業、株式会社カヤックだ。 アイデアの発端は、同社が以前立ち上げた『T-SELECT』というTシャツ販売サイト。 デザイナーが提示したTシャツのプリントデザインをウェブに掲載し、 一定数の発注が入ったら清算・販売するというサービスだ。 この『T-SELECT』が予想以上の成功を収めたため、同社の柳澤大輔代表は 「絵画でもで きるのではないか?」と考えた。 「絵画でもTシャツ同様、『この作品はいい!』という作家と『その作品を飾りたい!』と思う人がいて、 両者をマッチングする"場"さえあれば、ビジネスが生まれる。 またこれだけインテリアに凝る人が増えている中で 『自宅などの生活の場にもっと気軽に絵画を置きたい』というニーズもあると感じていたんです」(柳澤代表) ニーズを埋めるマッチングの場に、なぜ「測り売り」を選んだのか? それは先述通り、「明瞭性」を狙ったものに他ならない。 日本では通常、絵画は画廊や展覧会などで画商から購入するのがポピュラー、 値段設定も不明瞭だった。「気軽に絵画を置きたい人のニーズを満たすには?」。 考えた結果、まずはサイズによって値段が決まる「測り売り」スタイルで明瞭会計を実現、 高かったハードルをぐんと低く設定した。 それだけではない。 『アートメーター』のサイトでは、出展している画家が「どういう思いでこの作品を描いたのか」を記している。 いつでもどこでも、絵画に対する思い入れや自分のバックグラウンドが本人の声で伝えられるわけだ。 さらにプロフィールページでは、掲示板を用意。 そこでは「この絵のこんなところが気に入った」といった投稿や自宅で飾った絵と共に 「リビングにこのように 飾りました」といった購入者の声が書き込まれている。 画家は返信を書き込み、自作へのモチベーションを高める、といった具合だ。 気に入った絵を通して、作り手と買い手が繋がる楽しさがある。 もちろん絵画を自宅でどう飾ればいいかの参考にもなる。 既存の絵画販売では考えられないこうしたコミュニティ機能が、 またハードルを下げる一端を担っているわけだ。 絵画に限らず、彫刻や音楽、演劇などアートと呼ばれるジャンルは、 ほとんどの作り手が食べることすら大変だ。その一方、社会が成熟し、 モノよりコトを求められる今のご時世、「もっと身近にアートを楽しみたい」というニーズも 確実に増えている。 両者を引き寄せる"カジュアルなマッチングの場"が作れるならば、 まだまだ新たなビジネスチャンスはありそうだ。 (カデナクリエイト/箱田高樹) ◆社長の繁盛トレンドデータ◆ 『ART-Meter(アートメーター)』 東京都目黒区自由が丘2-8-6ヒロガーデン自由が丘1階 TEL&FAX:03-5726-0543 http://www.art-meter.com/ |