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製造業

第317号 【急所44】仕事は、教え方まで含めて「仕組み化」せよ(その2)

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所44】仕事は、教え方まで含めて「仕組み化」せよ。(108頁)

 先回316号でお話しをした直後に発売された「日経ビジネス9月17日号」の特集タイトルは「日本企業は地球どこでも人手不足」でした。まさに先回からお話ししていることそのものだと思います。
 
人手不足で困っている場合に工場が行う対策は、
・人が採れなくても多くの注文をさばけるよう生産性向上をはかる。
・人が採れたら早く一人前になってもらうよう人材育成をする
ことでした。
 
そこで、先回は、頭に着けるビデオカメラを使って作業を撮影することで、紙に書くより簡単に作成できて分かりやすい標準ができるということをご紹介しました。そして今回は、そのビデオで撮影する標準の作業をどう作るかについてお話ししたいと思います。
 
実は私の指導先の多くでは、すでにこのやり方で作業指導をしています。先週伺ったU社もビデオ指導を最近始めました。そこで今使っているビデオ教材を見た後で、それまで使っていた紙に印刷された指導資料を見せてもらいました。
 
紙の資料も写真やふきだしを活用して工夫してあり、とても見やすいものでした。しかしその両方を比べてみると、分かりやすさは天と地ほどの差がありました。ちょっと驚きました。紙はあくまで読むことがベースですから動きは分かりませんし、情報が増えればその分読む量と時間が増えますから疲れますし、慌てていると頭に入りません。
 
一方、ビデオの場合は動くし、動く作業の様子を見ながら声で話してくれるので理解がとてもしやすいです。
 
そして何よりありがたいことに、作る時間がビデオは圧倒的に短いのです。もし慣れたリーダーが良い作業をして下されば一発で(?)出来上がります。数分で完成ということです。たとえ数分の作業でも、紙ベースの標準所の場合は文章を書いて写真を撮ってレイアウトして…と、頑張っても一時間以上はかかってしまいます。
 
さて、では撮影に使う作業をどうするかが次の課題になります。
 
ここで一つ私が推奨する大切な考え方があります。
 
「ちゃんと作らないでほしい!」「ベストでなくていい!」ということです。
 
例えばリーダー、あるいは作業者の中で一番うまい人、もしその作業ができる人が一人だけだったらその人にモデルになってもらい、作業をビデオに録ります。
 
まずは撮影の前に一回作業をしてもらい観察しましょう。その時にその作業の説明を声を出しながらしてもらいます。そこでみんなでちょっとの修正が必要であったらその場で直してください。
 
そんなに時間をかけないで、せいぜい5分とか10分でこの準備作業を終了して即本番!その場で完成させてしまいます。あとで編集とか一切なし、その場で完成してください。
 
標準という言葉を使ってしまいましたから、かなりしっかりした作り方を想像された方も多いと思います。しかしここではその考えをしないようにしたいと思います。作るのが遅れることによって標準がないまま仕事が始まっている現場をよく見ます。いくらいいものができてもその前に不良品ができてしまえば無意味です。
 
あるいは、そのいいものを現場でないところで作ってしまうと(紙資料を品質管理や技術部門の人が作っていることも多い)誰も使わないということもしばしば見ています。
 
作業も考えられる最高のやり方を創造するのではなく、今できている中のベストでいいです。創造してしまうとモデルがいないので結局誰もマネできず実行できないといったことにもなります。
 
まずは一番上手な人をモデルとしてみんなでやってみようといったシンプルなやり方をお勧めしています。
 
とにかく簡単に分かりやすく今すぐ作ることが必要です。
 
 
 

 

 

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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