色の選択次第で従業員の笑顔が減っていく?
前回の「色に対する思考の整理」できましたか?色が人の心へ与える影響力の強さは立証されています。無意識でも色から多くの影響を受けます。今回は、オフィス空間における色使いについて一緒に考えていきましょう。
皆さんのオフィスはどんな空間ですか。色のこだわりはありますか?居心地の良い空間だと胸を張って言えますか?実は、オフィスの大部分を占める「色」を変えるだけで、人に与える心理効果も大きく変わる。色次第で、寛ぎやすい空間にも集中しやすい空間にもできるのです。ごく一例ですが、どの色がどのような心理効果を与えるのかを、壁、床、家具などランダムにご紹介していきます。
まず、様々な場所に設置されているオフィス家具。選んだ基準は何ですか?安いから、ヒット商品だから、ただなんとなく…家具の色などどれも同じだと考える方も多いのではないでしょうか。一見同じようなものでも、家具そのものの色からも、私たちは無意識に刺激を受けています。
オフィスに欠かせない色といえば「白」
では周囲や従業員に良い影響を与えるには、どんな色にすれば良いでしょうか。オフィスに欠かせない色の代表選手は「白」。人は白い空間を清潔に感じます。また白には明るい光を連想させ幸福感を与える力もあります。ただし雪のような白すぎるホワイトは視神経を強く刺激して逆に緊張感を生む、最初は綺麗でも汚れが目立ち次第に部屋が暗くなる…といった欠点も。真っ白は使用場所や面積に工夫が要るのです。
そこでおすすめは、オフホワイトもしくはアイボリー。最初から優しい白なら、汚れも目立たず明るさも一定を保ち無駄な緊張感もありません。皆さんの会社の白はどんな白でしょうか?もし真っ白ならオフホワイトにするだけでも社員の気持ちに変化が現れます。もし社長や先輩に話しかけづらい雰囲気が社内にある様なら、肩の力を抜くためにも、オフィス全体を優しい色に包んであげましょう。
営業部であれ管理部であれ欠かせないのが机。どんな色の机を使っていますか?この30年でオフィス机の色は大きく変わりました。昔のオフィス机は、刑事ドラマでも未だに見かけるグレーがメインでした。ですがこのグレーに長時間身を置いていると、知らず知らずにどんよりと気持ちが暗くなってしまいます。もし今もグレーの机なら、まずは机の色を白に変えましょう。これだけで従業員の笑顔が増えてきます。
既に机を白にしている会社なら、白い無機質な机から木の机にガラッと変えて統一させるアレンジもおすすめです。木目には安心感・リラックス効果があります。ブラウン・茶色は土や木などの自然素材、人間の髪や目の色など非常に身近な色です。人が見慣れているブラウンも、空間に安心感を与えリラックス効果を高める効果があります。
そしてコーナーには生命力や成長をイメージさせる緑の観葉植物を飾れば、事業の発展を願う空間としてもぴったり。緑色には、疲れた心を癒して気持ちを落ち着かせる効果があります。ブラウンのリラックス効果は見慣れたものの安心感、グリーンは生命力から得る安心感。どちらもオフィスという戦いの場でこそ、積極的に取り入れたいおすすめの配色です。社長室や応接室の机のブラウンは、社長はもちろん従業員や来客者の緊張感を無意識にほぐしてくれます。
集中力を高めたいなら「ブルー」
リラックス感以上に仕事に欠かせないのが集中力や判断力。オフホワイトやブラウンと相性が良く集中力を高める最適な色は、ブルー。鎮静作用があり血圧や心拍数を下げる効果が立証されていて、人の集中力や判断力を高めてくれます。
全体的にオフホワイトな空間にして、集中スペースとして一部ブルーを取り入れましょう。一面の壁だけブルーで塗るのもOK。難しければ、椅子の背もたれなどの色を変えるのもアリです。かつて「集中力が高まる」とフロアを青一色にした企業がありましたがこれはNG。疲れて気分が落ちてくると上ではなく下を見てしまうのが人間です。
数字が出せない、上司に合わす顔がないと言ったネガティブな理由がある時、人がブルーを目にする場所が重要です。本来のブルーの効果は落ち着きを取り戻す、冷静になる、頭を冷やす…ですが、一方マイナスな気分の時には、青白くなる、青ざめる、緊張感が取れないという負のスパイラルに引きづり込まれるキーワードをイメージさせてしまうのです。
間取りや家具のレイアウトももちろん重要ですが、色の心理効果を活かせばより理想的な空間がつくれます。これからはオフィス設計にも、色を意識していきましょう。
※本コラムはビジネス見聞録に掲載をしたものです。
■七江亜紀氏(ななえ あき)/株式会社ナナラボ 代表取締役
企業やビジネスパーソンをはじめ今まで3万人以上のカラーコンサルティングをしてきたカラーキュレーター®。
営業成績を向上させる服装の色から部下の力を引き出す色、会議を活発にさせる色など、コミュニケーション力、モチベーション向上などビジネスの場で色の効果を活用するカラーマネジメントを指導。その活躍はファッション、フード、インテリア等…ライフスタイル全般にも広がっている。主な著書に「オレンジこそ最強の色である」、「色が教えてくれること~人生の悩みの9割は「色」で解決できる」他多数。