前回は「社内全体が見える視点をもとう」についてお話しました。今回は「聴き取りやすい声とは」についてお話します。
まず声が出るしくみは、➀腹式呼吸で吸った息を、「はく息」として使って声帯を振動させる➁話す声の元になる「フー」という「咽喉の原音」を作る③その原音を喉・鼻・口などの空洞部分に共鳴させてそれぞれの持つ声(音色)を作る。④その声に口蓋や舌・唇などで障害を与えることで様々な音に変えて言葉にしていく(母音のアエイオウについては障害を与えずに出している)ことです。
一つ目のポイントは、「背筋をまっすぐにする」です。例えば研修の第一声で「皆さん、おはようございます」と私が言ったとき、返ってくる声が思ったより小さく感じると、私はすぐに「皆さん、背筋を正してからもう一度言いましょう」とお願いします。口の開閉や声量がどうだということには全く触れずに、「背筋」と言う言葉だけお願いします。どのような声がかえってくると思いますか?
一回目のときより1.5倍位の声量が返ってきます。「背筋」は声出しの基本だけではなく、歩き姿・お辞儀・名刺交換などの見栄えの美しさとも関係する大事なポイントです。
四つ目のポイントは滑舌です。これは早口言葉が効果的です。➀【お綾やお母上にお謝りなさい】母音の基本の「ア」を、顎を下げて大きな口で言うと言いやすいです。➁【あの竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけた】舌の動きは普段あまり気にしていませんが、舌をよく動かすと早口言葉が言いやすいです。③【武具馬具武具馬具三(み)武具馬具合わせて武具馬具六(む)武具馬具】唇を意識して動かすことで、口を閉じることがトレーニング出来ます。
五つ目のポイントは相手にとって聞きやすいスピードです。NHKのアナウンサーがニュースを読む速度を参考にしてください。
六つ目のポイントは「間」(ま)です。文と文の間に、一秒位「間」をあけます。この「間」は、聞く人が前の文を理解する時間としてとても大事です。
七つ目のポイントは話す音程です。人それぞれ生まれつきの音程がありますが、相手の聞きやすさを考えると、ある程度明るさを伝えられる音程がいいです。無理なく明るい印象の声を出し続けられるという意味では、口角を上げて話すときに出る音程をお勧めします。音階の「ソ」の音から話し始めることを勧める方もいます。皆さんは、オーケストラが演奏前に音叉で音合わせをすることをご存じと思います。音叉は「ラ」の音です。「音叉ヒーリング」にも気持ちの良い音程として音叉は使われているので、音叉の音に近い「ソ」も聞き取りやすい声の一候補と言えます。
【通信教育】ビジネス・コミュニケーションスキル講座の詳細はこちら