※聴講イメージ:デジタル版を再生したり、講話をスマホに取り込む事でいつでもどこでも視聴することができます。
講話は経営や人生の智恵の宝の山。経営者や専門家が自らの体験を講話で伝える深さと、より楽しむ聞き方を実学・耳学・磨く「MIMIGAKU(ミミガク)」を提供する日本経営合理化協会オーディオ・ヴィジュアル局の企画担当者が毎回紹介していきます。
前号の「Track4 講演録の聞き方 その道の専門家の講話から学ぶ」では、その道で活躍されている専門家の方々の講演を聞くことの利点やポイントをお伝えしました。また、講話も読書と同様に自分の好きな分野に偏りやすいため、興味のないテーマにも触れる事で視野が広がり、事業のヒント、スキルにもつながることもお伝えしました。
さて、今回のTrack5では、実際の講演録をいくつか選んで、その専門家が教えてくれる実務や情報を得るポイントをお伝えしたいと思います。収録物は、全国経営者セミナー直近2大会での講演タイトルの人気講話からご紹介させていただきます。
さて、専門家の講演録において大事な要素は、その方の過去の経験の蓄積にあたる実績や指導歴となります。その分野においてどのような経験をされてきた方なのか、また、その分野の評論家なのか、研究者なのか、実務家なのかによっても話す内容が大きく変わると思います。やり方を知りたいならば、実際に取り組まれている実務家の方の講話を聞くことをおすすめします。また、その分野を大きく掴みたい、トレンドや傾向を知りたい場合には評論家の方、技術的な部分を知りたいならば研究者の講話を聞かれることをおすすめします。
※聴講イメージ2:車の移動中にミミガクして聴くことで移動時間を有効活用することができます。
さて、一つ目がファンクショナル・アプローチ研究所社長 横田尚哉氏の「ファンクショナル・アプローチで飛躍する経営改善の技法」からです。横田氏は総額1兆円の事業や案件に携わり、2,000億円のコスト削減をしてきたGEの経営改善技法「ファンクショナル・アプローチ」の仕組みと活用法について解説されています。経営改善するうえで邪魔になるのは固定観念や先入観。これで思考が止まってしまうことが多いのです。ファンクショナル・アプローチを使って、「モノ」ではなく「機能」に着目し、「誰のため、何のため」の視点でひとつひとつ見ていくことで、様々な改善点を見つけることができるとのこと。
時代に合わなくなったことを変えたい、コスト削減したいなど目的別に改善をすすめることができるようになります。今までの経験で誰しも持ってしまう固定観念。その取り除き方や、指示待ちではなく経営改善ができる組織のつくり方など、経営改善するうえでのポイントを知ることができます。
二つ目は、新規事業家 守屋実氏の「中小企業が新規事業を成功させる社内起業のすすめ方」。新規事業家として今まで52の事業を立上げてきた守屋氏が成功と失敗の実体験の中から、社内で新事業を立ち上げる方法を解説する講話です。
経営資源が少ないスタートアップよりも、本業を持っている企業の方が経営資源もあるので成功しやすい。しかし、多くの会社で99%同じ間違いをしていて新事業がうまくいっていないことを指摘され、その間違いを避けて成功に近づける方法を自らの経験から解説をされておられます。さらに、自社がやる新事業は誰かの本業。
自社の本業が、他社の新事業として競合した時にすぐに負けてしまうことはない。そのため新事業は誰か任せではなくリーダーの意志が一番大事で、本気でやらないとならないことなども伝え、事例を用いながら実際のすすめ方の要点を解説しております。
横田氏、守屋氏ともに専門家の講話の中では実務家の講話にあたります。その分野において幅広い情報は手に入りませんが、取り組み方の基本をすぐに知ることができるメリットがあります。どの講話においても1時間でお伝えすることは限られていますが、講話者本人の経験から伝えたい大切なポイントを優先して解説しています。
そのため、一つのテーマに対して専門家の方々の講話をいくつも選んで聞くことで異なる視点や実務を得ることをおすすめします。ぜひ、これから取り組みたい課題や知りたい情報を選んで聞き始めてみてください。新しい知識が得られ、聞くことで智恵に変わると思います。次回は対談の講演録の活用法についてお伝えしたいと思います。