ベビーテックは、育児の効率化だけでなく、赤ちゃんの安全を守るための重要なツールとしての役割も果たしています。特に、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすための睡眠監視システムや、遠くから赤ちゃんを見守るベビーモニターなどが定番で、赤ちゃんが安全に過ごせるよう見守り、親に安心を提供するためにつくられた製品が増えています。
台湾を拠点とするスタートアップ、雲云テクノロジー株式会社が提供する「CuboAi」は可愛らしい小鳥型の本体にAI技術を搭載した高機能スマートベビーモニターです。
赤ちゃんのベッドの上での動きや姿勢、顔の状況にもとづいて、寝返りを打ったり、口や鼻が覆われている可能性を感知したりすると、アラートを発信します。
睡眠を記録し、分析する機能や、スマホで遠隔で赤ちゃんの様子を確認したり、赤ちゃんの声を聞いたりできる機能、遠隔でパパママから赤ちゃんに声をかけてあやせる双方向音声通信機能、赤ちゃんのかわいい姿や初めての動きを記録する自動録画機能など、便利な機能が満載です。現在、累計販売台数20万台(全市場)のヒット商品となっています。スマートベビーモニター「CuboAi」 https://jp.cuboai.com/
赤ちゃんが生まれた後だけではなく、生まれる前の妊娠中にも、妊婦に安心を提供する「ベビーテック」製品があります。
株式会社ちゃいなびが提供する胎児超音波心音計「エンジェルサウンズ」は、妊娠初期の12週目から使用でき、お腹に密着させるだけで胎児の心音を聴くことができる製品です。
まだ胎動が感じられない時期で、次の健診までの間に時間が空いて不安を感じることがある妊婦にとって、心音を確認することで安心感を得ることができます。国内でシリーズ累計販売台数17万5,500台(2023年12月時点)を突破する人気商品です。
また、Instagramでは #エンジェルサウンズ で1万件以上の妊婦の声が投稿されています。胎児超音波心音計「エンジェルサウンズ」
https://chinavi-shop.jp/pages/angelsounds
★時代を読み解く3つのキーワード
今回のテーマ「令和のベビー市場はなぜ堅調?①育児を支援する「ベビーテック」市場」から抽出できるキーワードは以下の3つです。
❶家族間での育児タスク分散、代行サービス・商品
共働き世帯が増加し、女性も自分自身のキャリアに集中したい人が増える中で、現代の家庭は育児のタスクを効率的に分散させることを求めています。育児記録共有アプリは家族間での連携を円滑にし、親に代わって読み聞かせや寝かしつけをしてくれる商品は忙しい親世代の負担の軽減をサポートします。
❷「安心・安全」への惜しまぬ投資
子どもの安全と健やかな成長と、親子ともに安心できる環境づくりを最優先します。このため、SIDS(乳幼児突然死症候群)予防製品や高機能ベビーモニターなど、安心・安全に関連する最先端技術への投資が見られます。これらの製品は、親世代には安心できる育児環境を提供し、赤ちゃんの安全で健やかな成長をサポートします。
❸「意思決定」回数の削減
とにかく時間が無い現代の親たちは、日々の育児に関する無数の意思決定から解放されたいと望んでいます。サブスクリプションサービスや、シンプルで簡単なユーザーインターフェースにこだわった商品・サービスは、選択肢や情報過多によるストレスを軽減し、育児に関連する意思決定の労力を削減します。これにより、親はより多くの時間とエネルギーを、子どもとのスキンシップやコミュニケーションなど、より質の高い時間のために費やすことができます。
新しい時代のターゲットのインサイトを抽出し、それに応えられる商品をつくれると、ヒットを生み出せます。ぜひ、この最新のインサイトを活かしてみてください!
ビジネス見聞録WEB4月号 目次
・p1 収録の現場から 〈福岡雄吉郎「オーナー社長の賢い節税100の打ち手」音声講座〉
・p2 講師インタビュー 田尻望《キーエンス流「付加価値経営」と生産性を高める法》
・p3 今月のビジネスキーワード「中小企業のためのSNS活用」
・p4 令和女子の消費とトレンド「令和のベビー市場はなぜ堅調?」
・p5 展示会の見せ方・次の見どころ
阿佐見綾香(あさみあやか)
電通第4マーケティング局マーケティングコンサルティング部・戦略プランナー。企業や商品・サービスのマーケティングや商品開発、リサーチ、企画プランニング、コミュニケーション戦略立案などを担当。GIRL’S GOOD LAB(旧・電通ギャルラボ)研究員として、時代とともに変化する女性インサイトと消費トレンドを研究。著書に『電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる調べ方の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術』(PHP研究所)。