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ビジネス見聞録

講師インタビュー「DXはペーパレス化から始めよ」DX専門コンサルティングファーム日淺代表 日淺光博氏

ビジネス見聞録 経営ニュース

 製造業、不動産業、飲食業、小売業…直近3年間で50社以上、あらゆる業種業態の企業が抱える課題をDXで解決に導いてきたDXコンサルティングファーム日淺代表の日淺光博氏に、中小企業がDXを導入することのメリット、具体的にすすめる第一歩などをお聞きしました。

■日淺光博(ひあさみつひろ)氏/DX専門コンサルティングファーム 株式会社日淺 代表取締役社長
  「中堅・中小企業には“小さく始めるDX”こそ大きく効果を発揮する」を信条に、直近3年間で50社以上を指導。規模や業種を問わず、それぞれの企業が抱える悩みや課題をDXで解決。売上・利益アップ、業務効率化、新事業開発も成功へ導くDXコンサルタント。最終的に企業内でDXが運用できる組織体制を構築しつつ、あらゆる分野からのべ120以上のシステム、サービスを駆使して一社一社に合わせたDX戦略の指導で定評。
 大学卒業後、ベンチャー企業2社でITコンサルティングを経験。2012年株式会社日淺を創業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。新規事業部やマーケティング部門を中心に、事業推進やマーケティングのコンサルタントとしても活動。DXに特化した情報発信やデジタル人材育成動画を配信する「DXStudio」を運営。

会社が長期的に生き抜くにはDXは必須

経営にとってDXは本当に必要ですか?またなぜ必要なのでしょうか?

 これから2~3年で廃業が決まっている会社なら、DXは不要でしょう。それ以外の企業には、DXは必須です。これからの時代の経営には、少子高齢化・労働人口減少・人材不足の問題はどの企業にとっても切っても切れない課題です。DXは、その課題に対する一つの有効打となるものです。

 DXの導入で効果が期待できるものは幅広いですが、業務の効率化、生産性向上、働き方改革といった会社の守りの部分の強化と、テクノロジーと自社の強みを合わせた新規事業の開発やデジタルを駆使した営業力アップという攻めの部分の強化が可能です。導入に成功すれば、必然的に会社の競争力が上がってきます。採用力も上がるでしょう。

 逆にDXに着手できない企業は従来型の働き方、業務の延長になってしまい、会社としての魅力も高まっていきません。結果的に行き詰まってしまいます。

 5~10年スパンで労働人口が減っても生き残れる会社になるための体質に変わっていくために、社長はDXの導入を検討すべきなのです。

会社が良くならない「ダメなDX」もある

既にDXに取り組んでいる企業も多いと思います。自社のDXの進捗度を確認する方法はありますか?

 DXの進捗を確認するには、DXを進めるための3つのフェーズ知る必要があります。

 まず最初に「立ち上げフェーズ」。中長期的な自社の将来設計、会社のビジョンをつくる段階です。そもそも会社の長期的なビジョンがあるか確認して、明確にないようであれば、これを立てましょう。

 次に「計画フェーズ」。立ち上げフェーズでできたビジョンを実現するためにどういった手順で進めていくのかを考えます。部署単位で進め方を考えるのがよいでしょう。ビジョンを達成するための計画はバックキャストで進めていきます(講話本編で解説)。

 最後に「推進フェーズ」です。上記で決めたことを実際に進めていきます。それぞれのタスクの進捗確認は、計画への達成に対してどれくらい進んでいるかで行うとわかりやすいです。

 こういった段取りをふまずに、流行っているからとテクノロジーだけを導入した場合、何をやってるのか途中でわからなくなります。長期的には失敗するでしょう。これは「ダメなDX」です。

 そして私は、進捗を確認すると言っても数字にこだわりすぎないほうが良いと考えています。導入初期、中期、安定期…どの時期でも数字的な結果がでにくい「息切れの時期」があります。数字でガチガチに縛ると、こういう時に「DX失敗」の雰囲気が生まれ、続けられなくなってしまいやすいのです。これも「ダメなDX」になってしまう可能性があります。

 これからもっと新しいテクノロジーが生まれてきます。具体的に「○%成長を○年続ける!」ということではなく、まずは数年後に「こういう会社にするんだ」、「こういう事業に参入するんだ」といった大きなビジョンで進めるのがおすすめです。

社長がITに詳しくなる必要はない

DXがうまくいっている会社の特徴はありますか?

 社長がDXに前のめり・積極的な会社は、やはりうまくいっています。でも一方で、その社長はITに詳しくないことがほとんどです。それが、無駄や無理をなくすことにつながります。

 会社を良くしていこう、社員の生活を守っていこう、顧客によりよいサービスを提供しよう。そのためのやり方を柔軟に考える社長の元では、会議が活発化されていきます。

 社長がDXを導入することで会社が変わっていくことを楽しんでいるような雰囲気の会社は、上からDXの導入を命令された意識になっていないので、とても臨機応変にDXを採り入れていますね。

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