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第67話 だから、中堅中小が攻め入れられる!

北村森の「今月のヒット商品」

昨年4月に綴った原稿の続編を、今回はお届けします。

 

2010年以降の潮流のひとつに「家電製品が大手企業のものだけではなくなった」という話があります。

 

バルミューダのようなベンチャー企業、愛知ドビーに代表される町工場、そしてアイリスオーヤマをはじめとする低価格家電メーカーなどが奮闘し、答えを出してきました。

 

こうした勢力がとりわけ得意とするのは、一芸型家電です、多機能を誇るのではなくて、もう一点突破型でアピールする商品。たとえば、サンコーが矢継ぎ早に世に送り出しているおひとりさま用キッチン家電など、その好事例です。

 

こうした一芸型家電、毎年のように市場を賑わせています。昨年前半でいえばアピックスインターナショナルの「レトルト亭」がおおいに話題をさらいました。お湯も鍋も電子レンジも不要で、レトルトパウチ食品をそのまま温められるという商品です。昨年4月にこの連載で紹介していましたね。

 

昨年後半に目を転じると…。やっぱりありました。

写真のキッチン家電がそれです。ライソンの「球体ハンバーグ焼き器」です。1万780円と値段はまずまずするのですが、クラウドファンディングで注目を浴び、その後、一般販売されるに至っています。

 

なにができるのか。その商品名が示す通りです。専門店で出てくるような、まんまるのハンバーグが焼けてしまう、という家電なんです。本体のつくりはたこ焼き器のプレートにある半円の窪みを大きくしたようなもので、ああこの手があったのかと唸らせます。ただし、家電としてのメカニズムになにか新味があるわけでは決してありません。

 

実はそこがミソなのではないでしょうか。

昨今の一芸型家電の多くは、この「球体ハンバーグ焼き器」にしても、先ほど触れた「レトルト亭」にしても、また、サンコーなどのおひとりさま用家電にしても、高度な技術をもって驚きをもたらしているわけではありません。これまですでに存在していた、といいますか、かなり枯れた技術を使うだけで開発できてしまう、というところがほぼ共通しています。

 

つまり、高度な最先端の技術は必ずしも必要ないわけですね。だからこそ、中堅中小企業が攻め入れる余地がそこにあるのです。「球体ハンバーグ焼き器」は前述したようにたこ焼き器の応用形のような商品ですから、設計や製造にとてつもなく難儀するとまではいかずに済みます。

 

ではなにが必要になるかといえば、もうお分かりの通り、アイデアひとつです。一芸に特化して、その尖り具合で勝負するという話。

 

「消費者がハナから諦めていたようなところをうまく突く」あるいは「これができたら、なんだか心躍りそうと思わせる」といったあたりが、アイデアを練るうえでの重要なポイントとなります。

 

いずれにしても、消費者が「これまでも、こんな商品が欲しいと明快に意識していた」というところを超越して、「こんな商品が登場するとは全く想像してもいなかった」とまで感じさせることは必要かと思います。消費者のインサイト(意識も言語化もできていない、消費者の深層にある欲求)を掘り起こすには、これが大事です。一芸型家電では特にそこが成否のカギになりそうとも、私は考えています。なければないで、どうにかなってきた商品領域の開発に踏み込んで勝負をかけるわけですから。

 

どうして今回、改めてこんな話を綴ったのか。50万人、100万人を相手にしなくても成立するビジネスというのは確実に存在し、いまや一芸型家電はその代表例と考えられるからです。

クラウドファンディングで消費者の反応を読み、そのうえで一般販売に踏み切りかどうかを見定めるというのも、このところの一芸型家電に共通しています。中堅中小企業にとって、こうしてリスクを少しでも抑えられるのはいい話ですね。

 

別の角度から捉えますと、社内の会議で賛否両論となるような商品企画でも、まずはつくってみようと決断しやすい土壌ができあがっているとも考えられます(で、ここも大事ですが、社内外で賛否両論の巻き起こるような商品こそ、えてして市場では話題となりやすい)。

 

最後に付け加えますと、枯れた技術を用いて成立しうる一芸型家電であれば、比較的低単価の商品を出しやすい、つまり、消費者が思わず手を伸ばしたくなる範疇の価格設定に留められる、という側面もありますね。

 

もちろん、現在は物価高や円安などの不安要素が横たわってはいます。それでも…。

 

中堅中小企業が勝負に打って出られる余地がそこには確実に存在するのは、ここまでお話ししてきたように間違いのないところです。2023年も、あっと驚く商品が注目を浴びるのではないでしょうか。

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