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税務・会計

第22回 経理の不正を予防する「3つの対策」

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 
新聞の社会面では、毎週のように経理関係の不正が報じられています。
ニュースになるのは数千万円から億円単位の多額のものだけですが、数百万円以下の横領や着服などの事件は、日常的に発生しています。
 
社長は、「うちの会社の経理は大丈夫」と思っていることでしょう。
事件が起きた会社の社長も皆、そう信じていたはずです。
 
今回は「経理の不正を予防する〈3つの対策〉」をお伝えします。
 
御社では、これまでに不正事件が起きたことがありますか?
 
 
●まじめな経理社員がなぜ?
会社の現金を扱う経理の仕事では、横領や着服は以前からなくなりません。
会社も用心して、まじめそうな経理社員を採用します。
 
初めから会社の現金を盗む目的で入社する経理社員はいません。
最初はほんの出来心から、目の前にある現金をほんの少額、借りるつもりで手を出してしまう。
すぐに返金しようと思ったが、現金がなくなっても社内では誰も気がつかない。
次はもう少し大きな金額になり、次第にエスカレートしていく……
これがだいたい、お決まりのコースです。
 
不正が発覚するきっかけも共通しています。
女性経理社員の場合は、高価なブランドものを身につけ服装や身なりが派手になり、高級レストランでの食事や海外旅行が増える。
男性の場合は、高価な時計や車を購入し、風俗やギャンブルにはまる。
最近では、SNSなどから足がつくケースが増えているようです。
 
「他人に大事な現金を任せるのは心配」ということで、中小企業では社長の家族や親戚が、経理担当となっているのが一般的です。
しかし、信頼して任せっきりにしていた身内の経理担当者が、会社の現金を使い込んでしまうケースも少なくありません。
社長としては、経理社員に裏切られた思いでしょう。
 
最近、経理社員に何か変わった様子はありませんか?
 
 
予防対策① 出納係は短期間で交替させる
会社で不正が起きやすい環境には、共通点があります。
担当者一人に仕事が任されていて、不正が起きてもわかりにくい状況になっていることです。
 
経理の不正が起きる会社では、出納業務、つまり入出金を一人の社員が担当していることがほとんどです。
そしてもうひとつ、何年も同じ社員が継続して担当しているのです。
その結果、ほかの社員が関知していないために、不正が起きていてもなかなか発見されないのです。
 
このような「一人経理」体制は、社員数が少ない中小企業でよく見られます。
1つの業務のために、常に複数の社員を配置することはできないでしょう。
しかし、毎日の業務終了前の10分間に、管理職がチェックするだけで不正は減ります。
 
不正が発覚するのは、担当者が替わったときです。
不正予防の対策の1つは、定期的に出納係を交替させることです。
どんな仕事でも、新しく担当するときは、ミスをしないようにマニュアルどおりに緊張感をもって取り組むでしょう。
仕事に慣れてくると、心理的にも時間的にも余裕が生まれます。
手の抜き方を覚え、よくないことを考えるようになります。
 
そうならないために、出納業務は同じ社員が長期間担当しないルールにしておくのです。
ある会社では、事故防止のために出納係は1年以内に必ず交替させる仕組みにしています。
 
御社の出納係は、同じ社員が何年続けて担当していますか?
 
 
予防対策② 小口現金を廃止して振込精算にする
昔から、現金は不正の温床といわれています。
現金が紛失しても、証拠が残らないからです。
 
そこで、経費精算用の小口現金をなくしてしまいます。
小口金庫を廃止するのです。
現金がなければ、現金による不正がなくなります。
 
社員のほうも最近ではキャッシュレス化が進んでいますから、日常でも現金を使う頻度が減っています。
社員の立替経費の精算を小口現金の金庫から出すのをやめて、すべて振込精算に変えます。
現金がなくなれば、入出金はすべて銀行口座に記録されますから、不正が難しくなります。
 
御社の金庫には、今、現金がいくらありますか?
 
 
予防対策③ 経理担当者のネットバンキングの権限を制限する
内部牽制の目的から、経理部門の出納担当者と記帳担当者を別にすることが望ましいといわれています。
しかし、少人数の中小企業では難しいでしょう。
そこで、道具と仕組みで対策します。
 
小口現金がなくなれば、出金はすべて銀行振込になります。
経理のパソコンからネットバンキングで簡単に操作できます。
便利になると、ここでも不正のリスクが発生します。
 
「経理担当者のネットバンキングの権限を制限」しておきましょう。
支払いに関しては、経理担当者には振込みの準備までができる権限を与えておきます。
決済の承認権限は、管理職や社長に限定します。
経理課長や経理部長にも、すべての権限を与えずに、振込金額に上限を設定しておきます。
 
「1日あたりの送金額の上限」「1件あたりの送金額の上限」を設定しておくと、社内外の不正の被害を抑制することができます。
また、事前に登録してある取引口座以外へは送金できないようにしておくことも不正防止には有効です。
 
ネットバンキングという道具を使って入出金の記録を残し、権限設定の仕組みを利用して一人だけでは資金移動ができないようにしておくのです。
 
御社のネットバンキングの権限設定はどのようになっていますか?
 
 
●不正が起きない仕組みをつくる
完璧な不正対策は、大企業でもできていません。
人数や資源が限られた中小企業ではなおさらでしょう。
だからといって何もしないのではなく、できることをしておくことが必要です。
中小企業においては、今回確認した「経理の不正を予防する〈3つの対策〉」を最低限しておいてください。
 
①出納係は短期間で交替する
②小口現金を廃止して振込精算にする
③ネットバンキングの権限を区分付与し、上限額を設定する
 
経理社員を信頼して任せていても、被害にあってからでは遅いのです。
社長としては、社員を犯罪者にしないように、不正が起きにくい仕組み作りをしておくことが大切です。
 
御社では、どのような不正対策を行っていますか?

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