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税務・会計

第51回【「月次決算報告」マンネリ解消】3つの方法

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 経理から経営者への会計報告は、一般的に月次でおこなわれます。
 経理が、1カ月分の損益と資産負債の取引を会計処理して、月次決算報告がおこなわれます。
 どこの会社でも実施されている毎月の定例業務です。
 定例業務は、どうしてもマンネリ化する傾向があります。
 特に経理の仕事は形が決まっているため、目新しさや独創性は期待できません。
 報告を受ける社長のほうも、毎月同じでは飽きてしまいます。

 マンネリ化の怖いところは、仕事をしている本人が疑問を抱かなくなることです。
 ルーティン作業を繰り返しているうちに、経理本来の仕事の目的が忘れ去られていきます。
 月次決算報告がマンネリ化している経理社員を見ていると、業績を管理したり、財務状態の異常値を検知したり、やるべきことを見失っているように感じられることがあります。

 そこで今回は、「経理から経営者への‶月次決算報告のマンネリ化を解消する”3つの方法」を説明します。


御社の経理から経営者への月次決算報告は、マンネリ化していませんか?

 



【マンネリ解消法①】経理に「会計ソフトの比較分析機能」を活用してもらう

 経理の仕事は、業務内容が細かく規定されています。
 インプットとアウトプット、作業の仕方まで細かく決まっています。
 毎日のすべての作業は、定型化、標準化、パターン化されています。
 担当者個人の独自のやり方は認められません。

 会計システムに仕訳を入力すれば、計算はすべてコンピューターが処理し、会計報告資料を印刷してくれます。
 その結果、アウトプットされる資料は毎月同じ形式で、ワンパターン化していきます。
 会計システムから、月次残高試算表(貸借対照表、損益計算書)を印刷して、社長に提出しているだけという会社も少なくありません。

 市販の会計ソフトには、いろいろな比較分析機能が標準で備わっています。
 経理社員に、これらの便利な機能の利用状況について聞いてみると、次のような答えが返ってきます。

「比較分析機能は使ったことがない」
「比較分析機能があることを知らなかった」

 報告形式がワンパターンの経理社員には、社長から次のひと言をリクエストしてみてください。

「残高試算表以外の資料も出してみてください」

御社の月次決算報告では、残高試算表以外にどんな資料が提出されますか?

 



【マンネリ解消法②】経理に「経営上の異常値について経理としての意見を提示」してもらう

 経理事務が中心の経理社員は、月次残高試算表を作成するまでが仕事だと思っています。
 そのため、残高試算表を印刷して勘定科目の残高合わせをしただけで社長へ提出します。

 報告の仕方は、月次の損益計算書を見ながら、上から順番に「売上高xx円、仕入高xx円、経費xx円、利益xx円」、と数字を読み上げていきます。
 社長としては、会計の専門家である経理社員から、今月の業績や財務状態等についてコメントしてもらいたいところです。しかし残念ながら、それはありません。

「日常の経理業務が忙しくて、数字を詳しく確認する時間がありませんでした」

 このような言い訳をする経理社員もいるでしょう。
 しかし、本当の理由は違います。
 「忙しい」からではなく、数字の内容を読み取る能力が身についていないのです。
 日常業務が「忙しい」ことを言い訳にして、経営管理に必要なスキルの養成をしてこなかったのです。

 会計報告が数字の読み上げになっている経理社員には、社長から次のひと言をリクエストしてみてください。

「経営の異常値を指摘して、経理としての改善策を提案してください」

御社の経理社員は、「忙しい」を言い訳に管理業務から逃げていませんか?

 



【マンネリ解消法③】経理に「現場に行って自社の商売の理解」を深めてもらう

 経理は、事業部門から回ってきた取引結果の書類や伝票を処理して、銀行の入出金を確認すれば、月次の会計処理が完了します。
 商売の内容や日々の取引の実態を知らなくても、会計書類はできてしまいます。
 しかし、月次決算の数字の中身を検証するときには、商品やサービスの取引の実態、営業や仕入の取引条件などがわからなければ、会計上の数字とそれが意味することは理解できません。

 月次決算の数字は、現場、現実、現物を知ってはじめて、一つひとつの企業活動とつながるのです。
 日常の経理事務をひたすら作業しているだけでは、いつまでたっても月次決算の数字の意味は理解できないでしょう。

 商売の内容や現場の取引を知らない経理社員には、社長からの次のひと言が効果的です。

「わが社の商売の流れを各部門に聞き取り行って、私にレポートしてください」

御社の経理社員は、現場に足を運んでいますか?

 


社長のひと言が「普通の経理」を「できる経理」に変える

 今回は、「経理から経営者への‶月次決算報告のマンネリ化を解消する”3つの方法」について説明しました。

  【マンネリ解消法①】経理に「会計ソフトの比較分析機能」を活用してもらう
  【マンネリ解消法②】経理に「経営上の異常値について経理としての意見を提示」してもらう
  【マンネリ解消法③】経理に「現場に行って自社の商売の理解」を深めてもらう

 仕事のマンネリ化は、社員の成長が停止している象徴です。
 社長のひと言が、経理の仕事のマンネリ化を打破するきっかけになります。
 社長のリクエストに応えるために、社員は勉強するようになります。
 数字を見て考えるようになります。
 そして、商売のことを深く知ろうと努力するものです。

社長は毎月、経理社員にひと言声を掛けていますか?

 

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