企業には就業規則があり勤務時間が示されています。1日の勤務が朝8時30分から昼の休憩時間1時間を挟んで17時30分までであれば、1日の勤務は法定労働時間と同じ8時間であり、週の労働時間は40時間以内とすることが法律で定められています。
そして1年は52.14週であり、週40時間にこの52.14週をかけて計算すると、労働時間は年間2085時間となり、月平均の労働時間は173時間と計算できます。ただし、土曜日・日曜日に加えて、国民の祝祭日も休日とする会社の場合には、年間休日は120日となります。その場合の労働日数は365日-120日=245日となるため、この会社の年間労働時間は1960時間となり、正規従業員の月例給与の根拠となる月平均労働時間は163時間と計算できます。
この労働の対価として毎月決まって支払われる給料が所定内給与であり、その幹となる部分が基本給です。責任等級の場合には、基本給の中身について、定期(実力)昇給を制度として受け止める部分を「本給」と呼びます。加えて会社の営業成績ならびに一般賃金水準の動向に応じてそのつど定めるベースアップを受け止める部分が「加給」であり、併せて「基本給」を構成します。
基本給の核となる本給をいくらにするか、決め方には二つの考え方、要素があります。ひとつは「その仕事にふさわしい給料」であり、他方は「その人にふさわしい給料」はいくらかです。
つまり「担当している仕事」と、「仕事をする人」が給料に関わるわけです。賃金管理研究所が提唱する責任等級制では給与決定の第一要素を「仕事」と定義し、その責任の重さ、仕事の難易度を基準として「職位としての責任等級」を設けます。
この「職位としての責任等級」を能率的な組織運営の原則、つまり社長からの指示命令が第一線までいち早く届き、現場からの報告が速やかに社長までさかのぼり、命令と報告が躍動的に往来する精鋭組織のライン職制を順に表示すれば、規模にふさわしい職位としての等級区分ができあがります。典型的な中堅企業を例にとれば、仕事のための階層数は職種を考慮しても6段階あるいは5段階となります。
Ⅵ等級 会社方針を理解し、部門の最終責任を負う仕事
Ⅴ等級 戦術を立て、業務単位の管理責任を負う仕事
Ⅳ等級 チームをまとめ、課題を遂行する責任ある仕事
Ⅲ等級 実務にかなりの専門判断を必要とする仕事
Ⅱ等級 担当者として常識的判断を伴う仕事
Ⅰ等級 責任の軽い定型的、補助的な仕事
上記のように仕事の責任の重さは等級に定義されるわけですから、次の要素として「その人の仕事力」を審査して月例給与に結び付けることになります。等級別本給表には初号から刻まれた号数と金額が表示されており、いま現在の従業員の仕事力を判断し、昇給評語(S・A・B・C・D)にふさわしい昇給号数を加算する形で年ごとの本給を決め、加加給を加えて基本給を定めます。
【賃金管理研究所 セミナーのお知らせ 】
「“賃金制度” 作成塾」
■第1講 8月20日(火) 10:30~17:00
■第2講/第3講 9月11日(水)・12日(木) 10:30~17:00
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会場:JMCAホール(日本経営合理化協会 4F)
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