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人間学・古典

第36講 「言志四録その36」
平生便用するところの物件は、撫愛して毀損することなかるべし。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
平素の使用品は、大切にして壊してはならない。


【解説】
私生活で日頃世話になっているものを考えてみます。
空気・大地・配偶者・住宅・自動車などが思い浮かびます。

世間の統計を取れば、これらの中で一番大切にしているものは自動車ではないでしょうか。
エンジンの調子を見て、時々丁寧に清掃し、傷が付けば修理もします。
それに比べて、毎日世話になる奥さんや旦那さんには、苦言を呈することはあっても、
お礼を述べた記憶の無い人も多いのではないでしょうか。


友人S氏は商船大学出のハンサムな男ですが、会うたびに
「杉山君、奥さんを大切にしている?奥さんは大切にしたほうがいいですよ」と言うのが口癖です。

日本語のフェミニストは「女性に優しい男」の意味から「モテモテの男」というイメージがあります。
高級外車に乗るS氏は、端正な顔立ちのスポーツマンで外国語もこなしますから、私から見ればモテモテのフェミニストです。
一般にモテル男は女性遍歴を自慢し家庭を顧みないのが通例ですから、S氏の「奥さん大切論」は意外に感じるのです。
熟年離婚も多い昨今、老後のことを考えると妙に説得力のある言葉として気にかかります。

昔の人々の中にもフェミニストはたくさん見られます。

  「細君にさえ惚れていれば、家内安全だ」・・・(広津柳浪)

  「正しい夫の愛が加われば、女はどことなく美しくなるものらしい」・・・(伊藤左千夫)


次に社長の視点から、「平性便用品」を考えてみます。
頑張る役員や社員、大切なお客様、取引銀行の支店長など・・・直ちに多くの関係者を挙げることができます。
しかしこれらの人々は常に「日当りの人々」です。
掲句では脚光を浴びない「日陰の人々」を大切にし感謝せよということです。

具体的にいえば、一流の社長ほど常日頃から頭が低く、トイレなどで掃除のおばさんに会えば、
「おばさんのお陰で我が社のトイレが清潔に保たれます。本当にありがとう!」となります。

 
 
杉山巌海

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