ここ数日ずいぶんと暖かくなり、初夏の陽ざしを感じる瞬間が多くなってきました。
わたしが住む京都では藤の花が見頃を迎えています。みなさまの地域ではいかがですか。
新年度から一か月が経過し、緊張やつかれがピークに達しやすいこの時季、とりわけ責任感が強く几帳面な人ほど心身にストレスを溜めやすいと言えるのではないでしょうか。
そこで今回は、オフィスや自宅にいながらにして五感を刺激し、リフレッシュを図れる万年筆インクについてお話しします。
インクを替えて、気分を変える
近年は驚くほど数多くの万年筆のインクが発売されています。
パイロット社の色彩雫【iroshizuku】シリーズは全24色。「紺碧」「月夜」「深海」「竹林」「冬将軍」「山葡萄」「花筏」「夕焼け」「紅葉」「蛍火」など、日本の美しい自然や景色を連想させる色合いとネーミングも楽しい、大人気の商品です。
セーラー社の四季織【SHIKIORI】シリーズも全24色。
ほかに、神戸市に本社を構える文具店・ナガサワ文具センターの【kobeINK物語】シリーズはざっと100色(!)ものラインナップがありますから、使う楽しみはもとより、コレクションして眺める楽しみもあります。
価格はどれも1本1000~2000円のものが中心です。
メーカーによってボトルのフォルムやラベルのデザインが異なり、見比べると、さながらワインボトルのよう。どのインクからもメーカーの個性や歴史、商品のコンセプトが感じられ、一つひとつじっくり手にとって選び、使う時間は至福のときとも言えます。
色味の違いに注目を
一般に、ビジネスシーンで使うペンの色はブラックかブルーインクであることが多いものです。
しかしながら、ひとくちにブルーインクといっても明るいブルー、渋いブルー、濃いブルー、淡いブルー、深いブルー、上品なブルー、野性的なブルーなど色から受ける印象は様々に異なります。
これを大きく分けて「濃いブルー」と「淡いブルー」に分類すると、濃いブルーのほうがよりオフィシャルな印象が強くなります。
したがって、とりわけ重要な書類や目上の人にあらたまった場面で手紙を書くときは濃いブルーを。リラックスしてノートにメモをとるときや、親しい相手に気軽にひと言つづるときには淡いブルーを。送る相手との関係に合わせてインクを選ぶと、そこに自分なりのこだわりや工夫ができて、楽しみが広がります。
わたしの場合、青の中でも明るめの若々しい色合いが好きなため、この15年ほどずっとペリカン社のロイヤルブルーインクを愛用しています。
ほかにも、目上の方に礼儀正しく手紙を書くときには落ち着いた紺色のインクを。真夏の太陽が照りつける暑い頃には見た目からも涼しげな印象を受けるターコイズブルーのインクを使って手紙を書きます。
同じように、男性が力強さや積極性をアピールしたいときには色の濃いハッキリとした色合いのインクを。女性がやさしさや癒しを表現したいときにはやわらかい色合いのインクを選ぶとよいのではないでしょうか。
五感を動かすと脳の経路が活性化され、集中力や仕事の効率が上がると言われています。
散歩や植物園に出かけるまでもなく、オフィスや自宅にいながらにしてリフレッシュし、仕事の効率をさらに高める一助としていただけたら幸いです。