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健康

第12回 「真のプラス思考とは」

社長の「氣」

 プラス思考は重要という人がいます。プラス思考は重要ではないという人もいます。むしろ、プラス思考であることで状態が悪くなるという人もいます。実際のところ、どうなのでしょうか。
 この問いに答えるには、我々の「意識」について正しく理解する必要があります。意識には我々が自覚している意識(顕在意識)と、自覚していない意識(潜在意識)があると言われています。
 潜在意識は心の倉庫のようなもので、顕在意識は、潜在意識から出された材料によって構築されています。したがって、潜在意識がマイナスで満ちていれば、そこから構築される顕在意識がマイナスなのは当たり前です。
 潜在意識がマイナスで満ちているのに、顕在意識だけプラスにするようなことを「無理」と言います。無理を重ねることで状態が悪くなるのです。
 日本経営合理化協会主催の「氣の道場」では、多くの経営者から鬱病に関して相談を受けて参りました。話をお聞きしてみると、ほとんどの経営者が「プラス思考が重要」と捉えて、無理してプラスに考えようとしていました。
 潜在意識がマイナスでは顕在意識がプラスになることはなく、「一生懸命やっているのに出来ない」という絶望感・無力感が鬱病の引き金となっているようでした。
  こういった場合、無理にプラスに考えることを直ちに止め、顕在意識と潜在意識の関係を説明した上で、潜在意識をプラスで満たす具体的な訓練法をお伝えするようにしています。
 潜在意識をプラスで満たす方法は、大きく分けて三つあります。
 一つは、「プラスの言葉」です。正確に言えば「プラスの心の状態で言葉を発すること」です。自分が発する言葉は、最も近くで自分に語りかける言葉です。
 特に、何氣なく発する言葉は潜在意識に大きな影響を与えています。「自分には出来ない」「何をやっても無駄だ」「止めてしまいたい」など、マイナスな心の状態で発する言葉は要注意です。
 潜在意識をマイナスで汚しています。一言では影響は少なくても、それも積み重ねることで決定的な影響を与えます。
 「自分には出来る」「必ず方法はある」「必ずやり遂げる」など、プラスの言葉を発することです。このとき無理する必要はありません。一つずつ積み重ねることです。
 一つは「プラスの観念」です。何かを行うとき「上手くいかないかもしれない」「失敗するかもしれない」「駄目かもしれない」とふと心によぎるときがあります。
 明らかな原因があってそのように感じているであれば別ですが、原因もなくそのように感じるときは、マイナスな観念が心を支配しているときです。こういうときは、一瞬でプラスの観念に切り替えることが重要です。その例の一つに、息を力強く吐くことがあります。
 息を吐くことで「マイナスの観念が吹き飛んで、プラスの観念に切り替わる」と自分の中に置くことで、自分の中に新しい回路が出来ます。これを繰り返し訓練することで、一瞬でマイナスの観念からプラスの観念に変わるようになります。
 野球の王貞治さんは、先代の藤平光一からこれを教わり実践されました。年齢を経てフィジカルな力に衰えが見え始めると、野球選手はどうしても弱氣になるそうです。そんなときに、この方法行うことで乗り越えて来られたそうです。現在でも、王さんは福岡ソフトバンクホークスの選手に指導されています。
 最後の一つは「プラスの記録」です。日記をつけている方もいらっしゃると思いますが、それとは別のものです。日記はその日にあった出来事を記し、自分がどの様に感じたかを記録に取るものです。
 「プラスの記録」では、その日に達成したことを少なくとも五つ記録します。「朝、予定していた時間に起きられた」など、どの様に小さな達成でも構いません。
 我々は、一日を終えると、どうしても「出来なかった」ことをフォーカスしています。それも重要なことですが、潜在意識の観点から、同じだけ「出来たこと」にもフォーカスする必要があるのです。
 「書く」という動作は特に潜在意識に入りやすい。罵詈雑言をノートに書き出してストレス発散という人がいますが、その瞬間は効果があっても、長い目で見れば潜在意識をマイナスで汚しているのでお勧め出来ません。
 三つの方法のうちどれか一つで構いませんので、少なくとも三ヶ月間は実践して下さい。半信半疑で訓練を始めた方も、継続さえすれば如実に良い変化を感じられるようになります。
 ある経営者はリーマンショック後の景氣の見通しが立たない時期に、「いつか会社が成り立たなくなったらどうしよう」という漠然とした不安感に襲われ、不眠症に陥っていました。
 そう感じる具体的な原因があれば別ですが、この方の場合は会社の経営は順調でした。その様な中で、「プラスの言葉」を三ヶ月実践した結果、漠然とした不安感は払拭されました。
 真のプラス思考とは、潜在意識がプラスの状態で物事を考えることなのです。
 
 

 

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