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人間学・古典

第123講 「論語その23」
学びて、時に之を習う。また説ばしからずや。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
学んだ知識(学)を折にふれて日常生活の中で繰り返す(習)。嬉しいことではないか。



【解説】
 論語の冒頭に出てくる言葉で、『学習』の語源となったものです。『学』とは知識として理解すること、『習』とは生活の中で繰り返すこと、『説』とは「よろこぶ」と読み、嬉しさを感じる意。

 史記に「女は、己を説ぶ者のために容つくる」とあります。世の中には醜男でもモテる男がいる反面、美男でもモテない男がいます。その差は美醜でなく「女性への褒め言葉の回数」つまり掲句の『習』というのです。モテ男はこの女性心理を逆用し、賞賛を繰り返し、頃合いを見定めて口説くことになるのでしょうか。史記は前漢時代の司馬遷の歴史書ですが、2000年前の教えが現代の軟派男のモテ振りを支えているとなれば凄いことです。

 福澤諭吉の名著『学問のすすめ』に、「天は、人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の名言があります。人間の平等を謳い、家柄や貧富に差別されないことを断言しています。
 更に「されども今、広くこの人間世界を見渡すに、賢き人あり、愚かなる人あり、貧しきあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違ある」と続きます。天地自然は人間を平等に作っているはずなのに、現実には賢愚・貧富・身分の差があり、その差別を生む原因として「・・学ぶと学ばざるの差なり」と結論付けています。

 『学問のすすめ』は単なる勉強推奨本でなく、明治の人々に精神的・経済的な独立心を促し、誰もが身分を超えて大いに勉強し、その知識で実利実益を上げ、これを繰り返し実業にまで高め、広く社会に貢献することを教えました。
 そして福澤は、絶えず塾生たちに「官吏になるよりも野(や)(民間の実業社会)に下れ!」と独立自尊を説き、その結果塾生の中から藤原銀次郎・松永安左工門・小林一三などの錚々たる一流実業家が育ち、欧米に後れを取っていた我が国を近代国家に導きました。

 この福澤の掲句を言い換えてみれば、「学びを世に活用しての実学なり」となり、そしてその実学こそ「世の中の形成者意識の学び」となり、現代の『教育基本法』に繋がります。(実はこの法律は余り脚光を浴びていませんが、「国の未来を担う国民を育成する法律」として、憲法に次いで重要な法律です)
 『教育基本法』の第1条(教育の目的)は「教育は、人格の完成(自己能力)を目指し、平和で民主的な国家や社会の形成者として必要な資質(形成者意識)を備えた・・・国民の育成を期して行わなければならない」。前半では個人能力の育成を、後半では形成者意識の育成を述べています。学問は無闇やたらと振り回しますと鬼の金棒になりますから、学ぶ者の姿勢として「世の中の形成者意識」が大事になるのです。

 主宰する『人間学読書会』にも、会員から以下のような名言が寄せられています。
「人間学を学んだ者は、学んだだけ幸せになる。人間学を学んだ者が多い組織集団は、学んだ者が多いだけ幸せな集団になる。これが『人間学の学びの原点』である」(人間学読書会)

 

杉山巌海

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