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不動産

第33回 社長が社員の意見を直接聞く耳を持ち、仕事が楽しくなる会社にする事

売れる住宅を創る 100の視点

今回はフェーズ5「 顧客に選ばれる会社に 」の最後の第三項目『 社長が社員の意見を直接に聞く耳を持ち、仕事が楽しくなる会社にする事。 』の大切さを私の経験に基づいて具体的に御説明致します。

前回はフェーズ5「 顧客に選ばれる会社に 」の第二項目『 購入契約、住戸引渡し、からアフタークレームに至るまで、常に接客態度が変わらない会社にする事。 』のお話を致し、売れる住宅にするには、社員の接客態度や顧客に良い印象を持たれる様に社員教育をする事の大切さの御説明致しました。

今回はフェーズ5「 顧客に選ばれる会社に 」の最後の第三項目です。その為には会社の社内の雰囲気が大切で『社長が社員の意見を直接に聞く耳を持ち、仕事が楽しくなる会社にする事。 』がとても大切です。特に中堅デベには是非、実行して欲しい事で、これから私がお話致します様にすれば、この不景気な世の中でも大手に負けずに売れ行きがよくなると確信しています。

私は2000年までは大手設計事務所の設計部長を致しておりましたが、ストレスで体調を崩して退社し、その後、今まで私を指名してくれていました、クライアント数社に退職の御挨拶に行きました。

そして、そのクライアントの中のある中堅デベロッパーの社長から「 碓井さん。これからどうするの? 」って聞かれました。私は「 まず体調を良くする事に専念してブラブラしています。 」と申し上げましたら「 うちの会社で遊んでいたらどうかな…。報酬は少ないけれど、何かの時にアドバイスしてくれればいいよ」と有難い御言葉を戴き、その後、約1年半、色々と気にかけてくださり、お世話になりました。この社長の御恩は一生忘れないでしょう…。

この会社に約1年半、アドバイザーのような形で御世話になっていましたら、突然社長に呼ばれまして「 来年の4月から私は会長になり、息子が社長になる事にしたので、碓井さんにも知らせておこうと思いお伝えします。そして息子はあなたに会社に入ってもらって" 工事監理部長 "で活躍して欲しいそうなので頼むね。来年の4月からは、私はこの会社の会長と言えど一切関与しない事を息子と約束したんだよ。 」とおっしゃられたのです。

これを聞き私は悩みましたが、翌日社長のアポイントをとって社長宅に行き「 社長、大変申し訳ございませんが、昨日のお話での私の件は遠慮させて下さい。私は社長のポリシーと価値観が好きで設計事務所勤務時代にマンション設計のお仕事をさせて戴き、辞めてからも御社に御世話になりとても感謝していますが、私には" 工事監理部長 "の職は向きませんので我儘で申し訳ないのですが、長い間本当に有難うございました。 」と申し上げました。

実は私のこの回答は現社長に次期社長(御子息)を傷つける様な話しはしたくなかったので、この様に言って辞めたのです。具体的に本当の事を言えば、次期社長はその時点では副社長で、とてもワンマンで周りをイエスマンで固める傾向がある方でした。それに反して当時の現社長はとても人の意見をよく聞く方で良い提案は直ぐに実行に移す方でした。私はそれに惚れてその会社に約1年半御世話になり若干売れ行きに貢献致しました。

あとで聞いた話ですが、次期社長が4月に社長になってからは、優秀な中堅の社員や役員が次々とその会社を辞めたそうです。辞めた部長が私に会いたいと連絡が有り御会いしましたら、その方は会うなり直ぐに「 今度の社長は聞く耳を持たないので、会議になりません。 」と私に申され、辞められた理由をお聞きしました。

私はその方の優秀さを知っていましたので、惜しい人材が居なくなって大丈夫かな…って心配致しました。

この様に先代が良くても、ワンマンで部下の意見や具申を聞かない傾向がある次代に代わると会社は大変なことになります。会社がうまく稼動している時は良いのですが、現在の様に不景気になりますと社長のキャパシティーだけで会社を動かしていますと、坂道を転げ落ちる様に会社が不調になります。

私は2002年に独立し「 碓井建築オフィス 」を立ち上げ、マンションの「 設計監修 」や「 設計コンサルタント 」を受託しています。そして以前に受託した中堅デベロッパー数社の社長がワンマンで人の意見を取り入れる事が無くなり経営がうまくいかなくなって大変だと部下の方よりお聞きしています。理由は先程と同じです。中には優秀な技術系の社員を営業職に廻し、品質管理が出来なくなり、その会社の分譲マンションの品質が格段に劣悪になり全く売れなくなってしまったのです。

大手デベと違って、特に中堅デベは社員の実力を120%引き出して、会議や会社が楽しくなる様にするのが、社長の務めです。その様にすれば会社も良い方向に向いていき、生き残れるのです。最後に中堅デベの社長に申し上げたいのは会社が苦しい時は、社員の給与を減らすのでは無く、社長自らが率先して経費削減で社長の専用車を取り止めるパフォーマンスが必要だと思います。そうすれば社員も社長が模範を示しているのだから、我々も経費節減に寄与しようとするはずです。

私の経験では中堅デベでも、打ち合わせや会議をしていても、楽しい会社は生き残って若干なりとも繁栄しています。中堅デベの社長さん、是非私が今回申し上げた事を実行してください。生き残る為にも…。

次回はフェーズ6「 土地の仕入れ 」の大切なポイント七項目の第一項目をお話いたします。期待して戴ければ幸いです。                       

                  

                                                     碓井民朗

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