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マネジメント

第6回 より豊かに、より便利に、より楽しくで幸福感を訴求した西松屋

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

今後日本は、少子化・高齢化 へと進み、お客様は、それぞれの年代で異なった価値観を軸に会社(お店)が提供する商品やサービスを購入するか、購入しないか、を決定します。

国内で消費意欲の旺盛な人口(若者)が減ったとしても、会社(お店)は売り上げアップを可能にする(リピートを可能にする)ビジネスモデル(利益を生み出す仕組み)を構築しなければなりません。

このように少子化が進む今なのに、顧客満足度調査で、100点満点で73.8点という高い満足度を獲得し、業界のNO.1企業であるユニクロ(ファーストリテイリング)を抜き、「業界内 第1位」の座を獲得した会社に、西松屋という子供服の製造小売企業があります。

同社は、北海道から沖縄までの全国で800店舗近い店舗数を広げるチェーン店で、標準化された店舗を、主としてロードサイドに展開し、対象を「子ども」に絞り込むカテゴリーキラーとして(特定の分類項目の 商品のみを豊富に品揃えし、低価格で販売する小売店業態)、モノが行き渡った日本の市場相手に2011年2月期には過去最高の売上高1178億円を達成しました。

少子高齢化で買い控えが進む国内市場であっても、同社がこのように成長できたのは、経営理念に沿った現場をつくり上げ、客数と来店頻度と購買率で見事な調和(組み合わせ)を施し、リピートを起こしたからに他ならないのです。

 

1~調和(組み合わせ)~

西松屋の経営理念は、<赤ちゃんや子どもさんを持つ家庭の普段の暮らしを、“より豊かに、より便利に、より楽しく”する>ことです。

同社は、この理念に沿って以下3つのポイントにおいて、現場レベルで商品とサービスを調和(組み合わせ)させ、満足度の高い売り場をつくることで、結果としてユニクロよりお得で、お客様が楽しく感じる買い物を、経費を抑えるビジネスモデル(利益を生み出す仕組み)にして構築したのです。

1・客数・・・経理理念の~より楽しく~で品揃え
景気の影響を受けず、客数をアップさせるために同社は、お客様に~より楽しく~感じてもらう、1・気兼ねなく買える価格設定と2・カテゴリー(分類項目)の豊富さ(用途が多く、商品が少ない)を調和させ(組み合わせ)、その手法を米国のディスカウントストア(日本のホームセンターとほぼ同じ)の品揃えから導入しました。

例:87円ベビー食30~40種類、499円おしめ1種類、599円マタニティータイツとセットアップなど

2・来店頻度・・・経営理念の~より便利に~で店づくり
景気の影響を受けず、来店頻度をアップさせるために同社は、お客様に~より便利に~感じてもらう、1・単一の価格設定と2・これがあったら生活が少し向上すると感じる店づくりを調和させ(組み合わせ)、その技法を米国のバラエティーショップ(雑貨中心の100円ショップ)の店舗レイアウトから導入しました。

例:どこからでも見える99円均一ヘアーアクセサリー、入浴おもちゃ、お弁当グッズ売り場

3・購買率・・・経営理念の~より豊かに~で商品陳列
景気の影響を受けず、購買率をアップさせるために同社は、お客様に~より豊かに~感じてもらう、1・選びやすい買いたくなる(日常の数が必要な商品)絞り込んだ商品群と2・分かりやすい(サイズ別年齢別)陳列を調和させ(組み合わせ)、その演出法を米国のホームファッション(インテリアの専門小売企業)の関連陳列から導入しました。

例:サイズ別アッパー(シャツ)やパンツ(ズボン)やジャンパー
1000円~2000円,3000円台からパジャマやソックス1000円未満などを1つの什器で陳列

少子化であっても高齢者(つまり祖父母)が気兼ねなく購入できる価格設定と、子供たち(祖父母の子供のこと)が買いたくなる売り場をつくれば、お孫さんに買ってあげたいおじいちゃん、おばあちゃんの思いを孫への贈り物(その場で気軽に買ってあげる)という形で実現できます。

同社は、経営理念「赤ちゃんや子どもさんを持つ家庭の普段の暮らしが、“より豊かに、より便利に、より楽しく"なるように」を軸に、大衆の普段の暮らしをステージにして、先述の3つのポイントで2つの価値を調和させる(組み合わせる)売り場を提供し、ユニクロとは対照的に専門化(カテゴリーキラー(子供服専門店))することで、「手ごろな買いやすさ」という、“ここしかない”付加価値で顧客の支持を勝ち取ったのでした。

西松屋は、全て自主商品(OEM仕様書発注も含む)という品揃えを軸に、お客様の買い上げ点数アップに成功し、16期連続で売り上げを伸ばし、利益も確実に生み出しています。

なぜそれができたのか?

その理由は、会社の経営理念に沿って、売り上げをアップさせる3つの要素(客数、来店頻度、購買率)を調和(組み合わせ)させ、現場に落とし込み、お客様に必要とされる企業(店舗)になることができたからなのです。

【お知らせ】

2012年1月20日(金)ミッション経営の実践「儲かる理念経営」実践研究会~スターバックスの研究~

開催いたします。

本セミナーでは、経営コラムで解説した企業以外に、地元にロールケーキで有名な店舗がオープンし苦戦を強いられながらも、経営理念を具体化して、地域密着戦略で打ち勝った兵庫県三田で3店舗展開する洋菓子店サント・アンhttp://www.saintan.com/index.html や、中小の封筒印刷工場が経営理念を軸に、経営者の思いを社員に伝えることで残業をゼロにした事例などを解説いたします。

是非、業種業態に関わらずご参加ください。

当日は、皆様に、今後会社(お店)が生き残り、勝ち残る戦術と戦略を実践バージョンでお伝えできることを楽しみにしています。

★当日はゲストスピーカー元スターバックスCEO岩田氏の経営理念が利益につながる実例もご期待ください。
                      

                                                              清水ひろゆき

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