問題が起きたとき、もしその問題が起きる瞬間を見ることができたら、問題の発生原因の分析はもちろん対策立案・実行も簡単にできるでしょう。
なぜなら、起きる瞬間を見ていますから、見ていない場合とは全く違うレベルで実行できますよね。
最近、私の指導先のS社が社用のトラックおよび乗用車のすべてにドライブレコーダーを搭載しました。
「調子はどうですか?」と聞いたところ、事故が起きた瞬間の映像を残すことによって、問題の発生原因・対策立案・実行という本来の目的の達成はもちろん、それ以外にも、運転の際の安全性など運転品質の向上にもつながっているということでした。
問題が起きる瞬間を見ることができるという、私が望む状態が少しずつではありますが実現に近づいていると思いました。
ところで、私は指導先への移動にタクシーを使うことが多いのですが、改めて見てみると、今はほとんどすべてのタクシーにドライブレコーダーが設置されています。
これは最近のデジタル技術の進歩によって、製品性能の向上と価格の低下が進んだことによって可能になったのだといえます。
そう考えて、改めて身の回りにあるデジタル製品を見てみると、以前だったらとても困難で自社だけでは全く実行不可能であったはずのことが、今は個人でも簡単にできるようになっていることが多くあります。
例えば、とても小さいモノをみんなで同時に見ようとしても、それが顕微鏡を覗いて見るモノであれば一回に一人しか覗けません。その場合は当然交代で覗きますが、本当に全員が同じところを見ているのかどうかは、けっこう怪しいというようなことがありますね。
しかしCCDカメラを顕微鏡のレンズに取り付けて、それをプロジェクターでスクリーンに映してみれば、そこにいる全員が同時に何百倍に拡大された映像をさしながら見ることができます。
同じものをみんなが同時に見て、画面を指さしながら議論をすれば、これまでとは全く違うレベルの話をすることができます。能率も品質も段違いです。見えるようにすることの威力です。
そんな大きなメリットに比べて、デメリットであるコストは小さいものです。いま、CCDカメラはびっくりするくらい安く売っています。もしお持ちでない方は、一度ネットで価格をチェックしてみてください。
あるいは、作業改善とか作業指導でビデオを使うことがありますね。ビデオを撮って見ようとしても、みんなで会議室に行ってテレビやプロジェクターに接続して見るとなると、時間がかかるのでなかなかやれないと思います。
一方、ビデオカメラの液晶画面だと小さすぎてみんなで同時に見られないし、細かいところは判りません。
しかし、もしアイパッドで作業をビデオ撮りすれば、その場でみんな一緒に見ることができ、とても手軽で素早い判断ができます。
昨年11月に行われた経団連洋上研修で
(バックナンバー272号)、ある監督者チームが持参したアイパッドを使った標準作業作成方法を考案し発表会で実演しましたが、参加者はその手軽さと実用性の高さに驚いていました。
分析して紙に書いて作る作業標準書も大切ですが、作業を撮影して音声を吹き込んで説明するビジュアルな方法は、分かり易いうえに実に簡単に作れました。
見えると見えないでは問題解決のスピードが全く違います。どうぞ、身の回りにある機器なども活用して、問題解決のスピードアップを図ってください。