~起業時の想いを貫けば会社はオンリーワンになる!!~
非上場を貫き、1976年の創業以来34期連続の増収増益を記録。
警備員以外は皆正社員として採用することで転職が常識のIT業界の中、離職率はわずか数パーセントを誇る。
そんな会社SASインスティチュートは米東南部のノースカロライナ州に存在します。
「フォーチュン」誌が毎年発表する「最も働きがいのある会社ベスト100」に常に上位にランクするこの会社。
一体、どのような経営を実践しているのでしょうか?
同社トップのジム・グッドナイトCEOは「手本となる企業もなければ、ウォール街に耳を傾ける必要もない」と断言。同氏はただ起業時の想いを貫き、社員のことだけを考えるブレない経営を実践しているだけだったのです。
~社員満足は現場ベクトルが一つになるキャッチコピーが不可欠!!~
同社は、ソフトウエアを開発する知識集約型企業(膨大なデータを扱って、人力ではとうてい不可能な分析を行う)であり、このような製品は社員のマインドから生まれるため、会社の職場環境は<創造的な仕事>を後押しするべく、設えられています。(社員には全員個室を与え、白い壁には芸術品(創造性を促進する)を飾る)が、同社がフォーチュン誌「最も働きやすい企業トップ100」で過去6年間連続20位以内にランクインした理由は、職場環境のよさというより、
現場ベクトルを一つにするキャッチコピーともいえる目的=企業理念(存在意義)「SASの企業理念 『知る力』(POWER TO KNOW) 」があったからです。
同社の存在意義『知る力』とは以下の3つの意味があります。
・顧客の顕在ニーズ(解決して欲しいこと)を<知る>
・顧客の潜在ニーズ(本当に解決して欲しいこと)を<知る>
・顧客と話し合い共に2つ(顕在と潜在)のニーズを<知る>
*潜在ニーズとは、目の前のニーズ 例:コストダウンしたい
*顕在ニーズとは、根本のニーズ 例:世の中が必要とするものを提供したい
SASで働く現場は、
企業理念=存在意義である『知る力』(POWER TO KNOW)に沿って上述のステップを踏む(共に2つ(顕在と潜在)のニーズを<知る>)ことで、顧客との信頼関係を築き、顧客に「この会社にお願いしたい。」と思ってもらう流れをつくっているのです。
~スローガンは現場をワクワクさせるツールとなる!!~
SASはプライベートカンパニーのため売上額の25%を研究開発に投入し、顧客の支持を得ています。
が、そこには同社の製品がスローガン(下記)により顧客との関係性を深耕している からです。
<SASのスローガン>
Discover the unexpected
確認よりも大切で興味深いこと - それは発見です。
*スローガン(企業理念を具体化したもの)は、現場のやりがいを生み出すキーワード
現場は企業理念ではやりがいを感じません。
SASは、知る力という企業理念をスローガンにより具体化し、現場が顧客と共にワクワクできる仕組みを構築しているのです。
~安心できるだけの職場では会社は生き残れない!!~
SASは(ソフトウエア業界の年間離職率は平均20%を超す)離職率わずか4%。職場環境が良く、(収入も含め)安定安心することで社員満足を得るだけではなく、同時にワクワクする緊張感を以下の制度を導入することで、人材の流動性を社内で高め、安定安心に安住せず、新しいものに挑戦させる
環境環境を醸成しています。
<SASの転職制度>
6ヶ月以上1つのポジションに就いた後は、他のポジションに応募できる
SASのトップは、「職場環境に安住してしまい、もしきちんと仕事をしない社員がいたら、二者択一を迫る。すぐに退職するか、90日以内に行動を改めるかだ。しかし前者の道を選ぶのは、1~2%程度にすぎない。」と語っています。同社の強さは、非上場、無借金で潤沢な資金により独自路線を歩むことができ、且つ的確な予測、分析力が他社を圧倒しているからに違いありません。
が、同社の本当の強さは、製品の優位性だけではなく、技術者でもある経営トップが技術者として起業した背景にこだわり、「職場環境を充実させ社員にハッピーになってもらうほうが、会社を上場させ、株式相場(ウォール街)に右往左往するより大きな意味がある!」と確信し、
それが企業理念をもとに、キャッチコピーやスローガンで具体化されているからなのです。
SASインスティチュートHP(英語)
Balanced lives mean good business and great technology
<バランスある生活はよい仕事と偉大な技術を生み出す>