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第55回 湯めみの丘温泉(山梨県) 富士山を望む本物のかけ流し温泉

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■「富士が見える温泉」に名湯はない!?
 日本一絵になる秀峰、富士山。四方八方に広がる稜線の美しさは、どこから見ても感動的だ。東海道新幹線の車窓に富士山が姿をあらわすと、毎回「おっ、富士山だ!」とテンションが上がる人も少なくないだろう。
 富士山を見ながら温泉につかれたら最高である。日本一の絶景を望みながらの湯浴み。これほど贅沢なことはないだろう。ところが、意外なほど「富士山の見える本物の温泉」は少ない。少ないというより、ほとんどないと言っていい。
 もちろん、「富士山が見える温泉」は存在する。インターネットで「富士山 温泉」のキーワードで検索すれば、たくさんの温泉施設が引っかかる。実際、富士山を望む湯船を売りにしている旅館は数多い。
 だが、これらのほとんどは、私の基準では「本物の温泉」とはいえない。湯船からあふれた湯をそのままにする「源泉かけ流し」ではなく、湯を何度も使い回し、消毒殺菌する「循環濾過方式」の温泉ばかりだからだ。
 温泉に求めるものは人それぞれなので、富士山がキレイに見られれば温泉の質そのものはどうでもいい、という人もいるだろう。それを否定するつもりはない。だが、本物の温泉を知ってしまうと、殺菌のために使用している塩素の臭いを放つ湯につかるのは苦痛である。せっかくの絶景も台なしだ。
■かけ流しの「本物温泉」が少ない理由
 現実には、富士山が見える純粋なかけ流しの湯船には、なかなかめぐり会えない。その理由は、大きく分けて2つ考えられる。
 ひとつは、富士山は活火山であるにもかかわらず、周辺に温泉資源が乏しいこと。河口湖や山中湖のまわりには、富士山の眺望が見事な日帰り温泉施設や旅館もあるが、もともとの湯量が少ないためだろうか、ほとんどが循環湯である。それにしても、日本一の活火山である富士山の周辺に湯量豊富な温泉地が少ないというのは、不思議な話である。
 もうひとつの理由は、富士山が見える位置に無理して湯船をつくっていること。伊豆半島など地理的に離れた場所でも富士山を望むことはできるが、離れている分、建物の屋上や見晴らしのよい場所に浴場をつくらなければならない。そうなれば、必然的に遠くの泉源から湯を引っ張ってくる必要があり、循環式を選択せざるを得ない。
 私が知るかぎり、富士山が見えるベスト温泉は、山梨県甲斐市の小高い丘にある日帰り施設「湯めみの丘」である。
 近くに高速道路が走る市街地の温泉で、建物もスーパー銭湯風。浴室内もさまざまな種類の湯船が整然と並んでいて味気ない。はっきりいって、風情はない。鄙びた温泉情緒を重視する人はがっかりしてしまうかもしれないが、湯量の豊富さと湯の質の高さは最高レベルである。
■長湯したくなるぬるめの絶景温泉
 大小さまざまな湯船には、いずれも甘い硫化水素の香りが特徴の透明湯がザバザバと大量に注がれ、湯船からあふれ出していく。体にしっとりとまとわりつくようなやさしい感じの湯は、スベスベとした肌触りが特徴。たくさんの気泡が体中に付着するのも面白い。
  そして、開放感のある露天の湯船からは、富士山を望むことができる。距離があるので、けっしてダイナミックな眺望ではないが、少し控えめな富士山もまた乙だ。私が訪れたときは少し曇っていたが、しっかり輪郭を確認できた。別の方向に目をやると、南アルプスの山並みが一望できるのもうれしい。
  露天風呂は、少しぬるめ(39℃)に泉温が設定されているので、何時間でものんびりとつかれそう。富士山の絶景と温泉のパワーを同時に堪能するには、絶好のロケーションである。
 近年、富士山周辺は、日本が誇る観光地として温泉の開発も進んでいる。「湯めみの丘」以外で、富士山が見えるいい温泉をご存じの方がいれば、ぜひ教えていただきたい。

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