まだ仮差押・差押をされていないが、余剰がでる不動産の売却について今回は書いてみようと思います。
じっさいにあった事例(金額は多少変えてあります。担保のつけ方も単純化してあります)で、図式化したのが下記です。
会社が破たんし、融資を受けているC銀行から期限の利益喪失の内容証明郵便が届き、その融資金のほとんどが信用保証協会付だったので代位弁済が行われ、根抵当権の移転などがおこなわれる。ここまでで5ヶ月経過していたのですが、信用保証協会からの呼び出しがあり社長が協会に訪問。任意売買することで合意したわけです。
その後、信用保証協会担当者の紹介で不動産会社が決まり、4ヶ月後に売買が決定。その2ヵ月後に売買されたものです。
この場合で1,000万円の余剰がでるわけですが、これも借入金のほうが多いわけだし、すでに会社も破たんしているのだから、そのおカネをもらうことはできないと思う社長も多いと思いますが、じっさいはそうでもないのです。
先に、この不動産売買の配当がどうなったかを書いてしまうと、下記のようになったわけです。
C銀行、信用保証協会 配当1億円
仲介手数料・消費税・抹消登記費用等 500万円
売主様受領分 500万円
つまり、すでに破たんしていて、融資の残金が残ることがわかっていながら余剰があればそれはもらえるということです。
ただし、すべてがこうだというわけではないのです。余剰金をもらう法的な根拠というものが債権者側にすでにある場合はこの限りではありません。 たとえば、破たんした早い段階で銀行から差押がついた場合は余剰金はその銀行によってもっていかれます。
売買契約を結んだ段階で根抵当権を設定している銀行から差押がかかるということは考えられないことで、ましてや保証協会付の債権で担保不動産付で代位弁済されたものがある場合は、やはりそのようなことはありえないのです。ただし、もっと早い段階であれば差押をしてくるケースはあります。
一般的に余剰がある不動産に差押をしてくるのは、税務署・市役所などや、無担保債権者である場合の銀行・信用保証協会です。 そしてこれらの債権者とは返済するという前提のもとに交渉し支払をしていない場合、ちょうど売買契約が締結された前後に差押することが多々あり任意売買ができなくなり、契約後であれば違約金までとられてしまうということにもなりかねないのです。
いずれにしても、担保不動産を任意売却した場合、余剰がでるかもしれないと思い、その資金がほしいのなら、債務者との交渉も含め十分な準備が必要になります。