経済の厳しさを示す「4つの20%」
政府公表の4~6月期経済成長率が6.3%だが、その中身が悪く景気の「体感温度」が低い。次に述べる「4つの20%」がその厳しさを示している。
①不動産開発新規着工面積(1~6月) ▼24・3%
同期の不動産投資と販売面積もそれぞれ▼7.9%、▼5.3%と減少している。不動産及び関連産業はGDPの約30%を占め、中国の経済成長を支える最大の産業分野である。不動産産業の低迷は中国経済を直撃し、景気の下押し圧力が強まっている。
②国有地譲渡収入(1~5月) ▼20%
地方によって違うが、土地譲渡収入は地方政府財政収入全体の25%前後を占める。不動産開発着工面積と販売面積の減少は地方政府財政収入の減少を意味する。この状況が継続すれば、地方政府の債務危機を誘発する恐れがある。
実際、ここ2、3年、不動産産業の低迷によって、地方政府の財政収支が圧迫され、多くの地方では人員削減や公共事業の縮小を余儀なく実施している。地方公務員の賃下げの動きも広がりつつある。
③工業企業利益(1~4月) ▼20・6%
5月は若干改善したが、依然として厳しい状態が続いている。多くの企業が生き残るために、やむを得ず人員削減や従業員の減給を実施している。これは若者失業者の急増に繋がる。
④若者(16~24歳)失業率(6月) 21・3%
図3に示すように、16~24歳の若者たちの失業率は今年に入って、6カ月連続で上昇している。6月は21.3%にのぼり、統計開始以来の最高記録を3ヵ月連続で更新している。
出所) 中国国家統計局の発表より。
今年7月末に、中国の大学生及び大学院生1,158万人が卒業する。5月末時点で就職内定率は約30%にとどまっている。卒業=失業という厳しい現実が若者たちを悩ませ、社会不安の要素にもなりかねない。
李克強前首相はかつて「経済成長=雇用確保」と述べたことがある。正論と思う。経済成長をどう持続するか?若者たちの雇用をどう確保するか?習近平3期目政権の最大の課題は正に経済成長と雇用確保だ。