地元の風土に根差した新しい庭のスタイルが生まれ始めている北海道では、「ガーデンアイランド北海道」、「北海道ガーデン街道」などという活動が行われ、伝統的な日本庭園や都市型のデザインとも違う北海道ならではの庭園文化が発展しているが、今年は6月2日から10月8日までの4カ月間、「北海道ガーデンショー」も開催されている。
会場になっている帯広の「十勝千年の森」は、400ヘクタールという広大な土地を、「大地」、「森」、「野の花」、「農」をテーマとした4つの区域に分け、そこに5人のガーデンデザイナーとアーティストによる招待作品、81の応募の中から選ばれた8つの自由な発想で創り上げた小さな庭など、いろいろなスタイル、大きさの庭が作られている。
招待デザイナーのダン・ピアソンの水鉢のある静かな庭、「大地(アース・ガーデン)」にある「厩構造と投影(虚と実)」という馬小屋の構造体を水に写して見る浅野修氏の作品、公募作品の「森の蜃気楼」という、中を通ると不思議な感覚になる300本のアクリルパイプが並んだ庭など、面白いものが多かったし、全部回るといい運動にもなった。
また、子供たちが伸び伸びと遊べる「ぴぴっとガーデン」には、体重移動だけでスイスイ動く「セグウェイ」という立ち乗り移動器具を10分1,000円で試乗もできて人気となっている。
オープンから1カ月間の来場者 が2万5,000人越え(1日平均で837人、23日以降1,000人以上)と好調な出足で、今後も花が咲くトップシーズンの7月は1万人、夏休みの8月は5,600人の団体予約が入っていることから、目標の20万人も達成できるのではないかとしている。
■北海道ガーデン街道
北海道では、2010年から十勝・旭川・富良野にある7つのガーデンが連携し、「北海道ガーデン街道協議会」を発足、壮大で豊かな自然を生かした庭園文化を発信する広域観光ルートを作り、7庭園のうち4カ所まで入場できる共通チケット(1,600円)、北海道ガーデンショーと3庭園の共通チケット(2,100円)の販売などを行なっている。
ガーデン街道には、北海道ガーデンショーを行なっている十勝千年の森(清水町)を始め、紫竹ガーデン(帯広市美栄町)、真鍋庭園(同市稲田町東2)、十勝ヒルズ(幕別町日新)、六花の森(中札内村常磐)、上野ファーム(旭川市永山町)、風のガーデン(富良野市中御料)が参加し、それぞれが特色を持った庭を競っている。
今回私は、年間2,000種類の花が咲く「紫竹ガーデン」を見てきたが、ここは現在85歳になる紫竹昭葉さんが62歳の時に、「消え行く北海道の野の花を集め、お庭を作りたい」と、帯広郊外の土地を買ってゼロから作り上げた1万8,000坪の花畑で、今では日本を代表するガーデンになっている。
私の行った日も、平日にもかかわらず団体バスがどんどん来ていて、園内では本格的なカメラで花の写真を撮っている中高年の方々が多く、提供側、来場側双方が元気な高齢者という、高齢化社会ビジネスを考える上でも大きなヒントになる場所であった。
北海道ガーデン街道は、地域の特性を生かした地元活性化として、大変参考になる事例ではないか。
======== DATA =========
●北海道ガーデンショー
http://www.hgs.co.jp/
会場:十勝千年の森
所在地:北海道清水町羽帯南10線103
tel:0156-63-3000
開館時間:10:00~17:00
入場料:一般 1,500円
●紫竹ガーデン
http://www4.ocn.ne.jp/~shichiku/
所在地:帯広市美栄町西4線107番地
tel:0155-60-2377
開館時間:8:00~18:00 開館は4月21日~10月31日
入場料:一般 500円