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- 第53回 新しい働き方
新型コロナウィルス感染拡大を防止する目的で、欧米各国ではロックダウン(都市封鎖)、日本では緊急事態宣言がなされ、それに伴い在宅勤務(リモートワーク)が急速に広まった。
その後、欧米各国では規制が徐々に解除され始め、日本でも緊急事態宣言が全国で解除され、オフィスへの回帰も始まっているが、5月12日にツイッター(twitter)の最高経営責任者(CEO)ジャック・ドーシーは従業員全員に、「希望者全員に恒久的な在宅勤務を許可する」とメールを出し、コロナ後の新しい働き方が動き出した。
シリコンバレーのハイテク企業は、対面のコラボレーションにより大きな力が発揮できるとして、「アップル・パーク」や「グーグルプレックス(Googleplex)」などの特別なエリートだけが入れる巨大キャンパス(本社)で働くことを基本とし、これによりセキュリティを確保し、チームでの仕事を円滑に進めていた。
iPhoneなどのハードウェアも開発しているアップルは秘密主義で有名だが、「業務内容の保護を意図したセキュリティポリシーを鑑みると、従業員の在宅勤務は難しい」と、5月後半から段階的に「アップル・パーク」に出勤するよう指示を出したが、ソフトウェア開発が主のツイッターやスラック(Slack)などは在宅勤務を今後も採用する方針だ。
また、マイクロソフトは少なくとも10月まで、フェイスブックとグーグルは2020年末までの在宅勤務を認めており、今後リモートワークを恒久的に続ける従業員がいると予測している米企業は全体の4分の3(ガートナーの調査)もある。
■ズーム、スラックの業績
在宅勤務の普及で当たり前に使われるようになったビデオ会議の「ズーム(Zoom)」や、ビジネスチャットの「スラック」の業績を見ると、今の状況が反映されている。
ズームの2021年度第1四半期(2020年2月~4月)の売上高は、前年同期比169%増の3億2,820万ドル(360億円)、純利益は前年同期の20万ドル(2,200万円)から直近3カ月は2,700万ドル(29億円)と100倍に増加、営業活動による純現金収支は2億5,900万ドル(280億円)と前年同期は2,220万ドル(24億円)から10倍以上になり、フリーキャッシュフローは前年同期の1,530万ドル(17億円)から2億5,170万ドル(270億円)と15倍以上に増加した。
顧客数も4月末時点で従業員11名以上の企業が26万5,400件に上り、前年同期比354%と急増している。
スラックの2021年度第1四半期収入は2億170万ドル(220億円)と昨年同期比で50%増、有料顧客は前年同期比28%増で12万2,000件を超え、無料・有料のサブスクリプションを合計すると9万社以上が今年に入り新規契約をしている。
新しい働き方は在宅勤務だけでなく、自宅近くのサテライトオフィス、カフェ、公園など今後多岐に渡ると考えられるが、それに伴い評価や勤務管理など社内の体制も変化させる必要が出てくる。
新型コロナウィルスは、本当の働き方改革を世界にもたらした。
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