シリコンバレー視察レポート第2弾
前回に引き続き、9月下旬に開催したシリコンバレー視察ツアーのレポートを掲載します。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、2019年以来4年ぶりとなった今回の日本経営合理化協会「シリコンバレー視察ツアー」だったが、これまでの視察で何度か訪問してきたベンチャー企業が世の中に認められ始めていた。
コロナ禍での医療機関の消毒ロボットで台頭した「OmniLab(オムニラボ)」と、ビル・ゲイツの投資が発表された「Glydways(グライドウェイズ)」だ。
■OmniLab(オムニラボ)
OmniLab社は、2015年にベトナム系の3人で創業したテレプレゼンスロボット(ディスプレイ画面を持つリモコン走行ロボット)の会社で、製造の大部分を3Dプリンタで製造していることも特徴だったが、今回訪問してみると、主力製品が病院内消毒ロボットになっていた。
この「オムニクリン」という産業用UV(紫外線)ランプにより、消毒をする自走式ロボットは既に60病院に400台を納入している。
人間が一度ロボットに消毒する順路を教えれば、後は自動走行で狭い場所や曲がりくねったルートでも99.999%の滅菌処理を人間の半分のコストで行ってくれるというもので、従業員不足、ヘルスケアコストの増大などに悩む医療・介護業界で注目されている。
■Glydways(グライドウェイズ)
マイクロソフトのCEOとして有名なビル・ゲイツが、自身のベンチャー投資部門「ゲイツ・フロンティア」を通じて、Glydways社の第2ラウンドの資金調達(5,600万ドル)に、コスラ・ベンチャーズやスペインの建設会社ACSグループなどなどと共に参加したと報じられた。
Glydways社は、サンノゼ市内(Diridon:ディリドン駅)とサンノゼ・ミネタ国際空港間(7km)の旅客輸送プロジェクトに選ばれた中の1社で、自転車道ほどの幅の専用レーンを通る自動走行2人乗りロボットカーの運行システム(1時間に1万人を運べる)を開発している。
シリコンバレー視察では、2016年の創業直後の「ステルスモード」時代に初めてプレゼンを受け、その後の訪問時にも小型の試作車両、原寸大のロボットカーの試作車など順調に前進していたものの、ベンチャー企業につきものの資金調達に苦労している状況も見てきた。
今回の視察では、実験場で実際に乗車体験して構想が実現していることが確かめられ、感慨深いものとなった。
サンノゼ市のプロジェクトには、テスラやスペースXを手掛けているイーロン・マスク氏のボーリング社(地下鉄トンネルでの高速輸送を企画)なども参加したが、それらに勝るシステムとして選ばれている。
======== DATA =========
●OmniLab(オムニラボ)
https://ohmnilabs.com
●GRYDWAYS
https://www.glydways.com