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第25回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ナイキ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

<社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ナイキ>

勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。

なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。

会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。

経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。

そこで24回の連載を終わり、今回からは全3回で“マーケティング(売れる仕組み)”をキーワードに“どの顧客”を対象にアプローチすれば新しい顧客を創造できるか?を、売れる仕組みを経営理念とリンクさせ、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。

~用途をアピールし、市場を開拓する!~

1957年中距離ランナー、フィル・ナイトとそのコーチであった才能溢れるシューズデザイナー、バウワーマンは500ドルずつ出し合い、日本の「オニズカ・タイガー」製靴会社(現アシックス)のスポーツシューズ輸入・販売を開始したのがナイキの始まりです。
自分たちも含めたシリアスなアスリートひとりひとりを支援するメーカーとして1962年に創業した同社は、1960年代のジョギングブームで勢いに乗り、69年には売上げ100万ドルを突破、そして古代ギリシアの勝利の女神「ニケ」を由来とした「ナイキ」という会社が生まれたのでした。
 
同社の強さは、単にバスケットシューズを販売するのではなく、用途をアピールして新たな市場を開拓する用途分類した商品コンセプト(下記例)にあります。
 
例 バスケットシューズ ダイナミックな方向転換 KDシリーズ
    鋭いカットやストップ対応 レブロンシリーズ
 
ナイキが日本のスポーツシューズ販売から始まったにもかかわらず、世界でオンリーワンとなるブランドを構築できたのは、用途を訴求する売れる仕組み<マーケティング>とそれを支える会社の理念があったからなのです。
 
~ブランドは企業理念を具現化することでつくられる! ナイキの企業理念とは~
 
「選手と一緒に『第一級のスポーツ価値、芸術価値』を追求し、『スポーツ選手に対する尊敬』を第一とする」 です。
 
同社はこの企業理念の文言<第一級のスポーツの価値、芸術価値>を創業者フィル・ナイト氏の精神<保守的なものへの対抗心>に沿って映像(下記例)によって具現化し、時代に対抗する若者を惹きつけました。
 
例:マイケル・ジョーダンから生まれたシューズ、「エア・ジョーダン」
人間の域では不可能ともいえるな跳躍力をCMとして流し、ナイキが求めてきた「第一級のスポーツ価値・芸術価値」「スポーツ選手に対する尊敬心」の追求と創造をイメージ化
 
このCMにより、スポーツの持つ芸術性が全米、そして世界に認められ、同社はスポーツ選手によるスポーツ選手のための組織として、スポーツ選手の企業となることで、その存在価値ではなく、存在意義がブランドとなったのでした。
 
~企業理念で売上げをアップさせる仕組みとは?!~
消費者がナイキと契約したスーパースターのプレーを見て、CMでそのプレーを出した芸術性<第1級のスポーツパフォーマンス)に酔い、自身がナイキ商品を実際に楽しむ。
 
ナイキは、これらをストーリーとすることで消費者に<スーパースターの疑似体験>を提供しています。
 
CMの強烈な印象は、消費者にナイキの商品を買いに行くのではなく、「ナイキ」を買いに行くという動機を生み出し、他社と差異化したナイキのオンリーワンのポジションは、高額なテレビCMのコストをも吸収できる価格設定を可能にしているのです。
 
ナイキの素晴らしさは、マーケティング(売れる仕組み)戦略に優れているというだけでなく、マーケティング戦略(CMと用途分類)が企業理念<第一級のスポーツの価値、芸術価値>に深くリンクし、それによりブレない経営の軸(時代に対抗する若者にメッセージを送る)が利益を生み出す仕組み(ビジネスモデル=用途をアピールし、客単価をアップさせる)を構築していることなのです。
 
~企業理念は共通言語となり、現場を一つにする!!~
ナイキの共通言語は、“Just do it(=とにかくやってみよう!)”
この言語によって、現場は「あれはナイキらしいよね」「あれはナイキらしくない」と“ナイキらしさ”とは何か?を日常の仕事でも話し合い、社内にナイキ特有の文化を醸成しています。
 
企業理念の浸透には、現場がシンプルに理解できる共通言語<Just do it(=とにかくやってみよう)>が不可欠で、ナイキはこの共通言語を企業ブランドのメッセージとしても用い、同社の企業メッセージ“Just do it(=とにかくやってみよう!)”が、お客様向けだけでなく、社内でも実際に使われていることで、現場での価値観や考え方が統一され、現場全員の商品への思いが一つになり、これがナイキ成功の大きな要因となっています。
 
同社は、1998年のフランスワールドカップの際も、大会スポンサーになろうとはしませんでした。なぜなら、「大会をスポンサーすることが、必ずしもアスリートを直接的にサポートすることにはならない」との理由からです。
 
ナイキは、その代わりにW杯会場の数キロ離れた場所で、ストリートサッカーの大会を開催、自分たちはアスリートとの直接の繋がりを第一に考える、真剣なアスリートひとりひとりを支援するメーカーであることを改めて示し、企業理念を貫くことで、プロアマを問わずスポーツを愛するスポーツ選手の支持を得ているのです。

 
●ナイキHP
http://www.nike.com/jp/ja_jp/
 
 
●エアージョーダンCM
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=YMnG88vPt2s

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