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- 第43話 資産によってつぶされる会社とは?
現金でも預金でも不動産でも、資産をもつことはけっして悪いことではない。
しかし、企業再生の現場では、資産をもつことによってつぶされる会社というものが多く存在する。このての会社はほとんどで似たようなバランスシートを形成する。資産に占める固定資産の比率が大きく、同時に負債における固定負債の割合が大きい会社だ。かんたんに言うと、これらの会社は、資本金が少なく、業務を行うために不動産・機械等を買わざるをえず、借入れで資金を手当てして固定資産を購入した会社なのだ。
これらの会社でも返済金額以上の返済原資が稼げていればいいのだが、そうでなくなると、経常利益が黒字でも返済ができなくなってしまう。
返済できなくなり破綻に向かうにはいくつかの変化が目印になる。たとえば、販売先の倒産や大口の不良債権の発生、自社の売上減少(下記A社の例)などなのだが、これらの会社が破たんしても再生できるかどうかはいくつかのチェックポイントを検証すればわかってしまう。
下記のA社のバランスシート概要と売上推移をみていただきたい。
これは売上が減少することによって返済が出来なくなった破たん会社なのだが、ぎりぎりだが表向きは債務超過にはなっていない(固定資産の評価替えをすれば債務超過だろうけれど)。さらに、流動資産と流動負債のバランスを見ると流動資産のほうが大きい。
このA社で売掛金などに不良資産がないのであれば、再生できる可能性が残されていることになる。
A社の例で次に考えるのは、この固定資産の内容と価値だ。
A社の固定資産は土地と建物で工場として利用しているのだが、これが誰もほしがらないような不動産なら脈があることになる。
「えっ どうして?」と、皆さんは思うだろう。
たいていの不動産には購入するときに金融機関の根抵当権という担保がつく。該当不動産が誰もがほしがるようなものなら金融機関は破たん後早い段階で売却を考え始めるからだ。
逆に売れそうにない不動産なら、金融機関にきちんとした返済計画を出しそれを実行していけば、うまくいけば売却はすぐにはされないことになる。
そして、最後に考えるのは、A社の優位性(技術面などの)と最終的な着地点だ。
いくら条件が満たされていてもA社が比較優位な価値あるものを作っている会社とかでないと生き残れないからだ。
さらに、A社の優位性を考慮したうえで資金の出し手を探すというやりかたもあるのだ。
ちなみに、このA社、現在手がけている会社で製造業。すべての条件をなんとか満たしている状況で、金融機関からも返済計画については同意をいただいている会社だ。
A社の例で言えば莫大な固定負債の返済と利息負担が時間的に凍結されれば問題解決の一助になるのだ。このての会社、ほとんどが製造業で一般的に就職したいと考えるような業種ではないが、そこにしかないものを持ち合わせていることがほとんどだ。
A社は破たん後半年で営業再開し、今では資金繰りにそれほど悩むこともなく推移している。まだ道半ばだが、これらの再生成功事例がいくつも積み重ねられることで、さらによいパートナーになれると私は考えています。