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第8話 「不況を乗り越えるパラドックス的発想」

東川鷹年の「中小企業の人育て」

  先般にも、このコラムでお話したことだが、本格的な不況を乗り越える重要な心構えであるから、敢えて新年のはじめに詳しくお話しさせていただくことをお許 し願いたい。
 
 実際、私がまだ、中小企業で人事責任幹部だったころ、先代社長からのこの考え方が会社全体に浸透し、社員が共有できたことが、不況を乗り越え 大発展を遂げる、一番の大もとであったと、つくづく実感している。
 
 私達はよく仕事で、「それはたいへんです。できません。」と言う。そんなとき、先代社長から「たいへんやからええんや。だから大きく変われる んや。それがパラドックス的なものの見方や!」と、後ろ向きの姿勢をいつも前向きに変えてられていた。
 
 パラドックスとは「逆説」 つまり、一見正しそうに見えるものが間違っていたり、反対に間違って見えるものが正 しかったりする事を言う。また、実際に先代社長からよく言われたことが、
 
●「経費(費用)は多いほど良い。ただし効果が得られるなら。」
●「税金は高いほど良い。ただし、お金が有効に使われる限り。」
●「景気は厳しいほどいい。ただし、本気で勝つ信念があれば。」
●「うちの会社は何もない。だからいい。やるべき事が一杯ある。」
●「よそが良いという商品ならうちは止めよ。よそが良くないと思う
  商品を良くするにはどうしたらいいか考えてくれるか?」
 
 こうして、「無いものを嘆くより、あるもので何が出来るか?」と、“出来ない理 由”ではなく『出来る方法』を考える習慣を身につけさせていただいた事を常々感謝している。
 
 そのため、今でも常に、「良い事は良い事か?良いことが必ずしも良いとは限らない。良い事は悪い事に通ずる。逆に悪い事は良いことに通ず る。」との考え方に照らし合わせて物事を考えるようにしている。
 
 今、社会全体に厳しい冬の到来に直面している中で、悪い事を嘆くより、良くするにはどうしたら良いかを本気で考える“時”が来 た。
 
   “春の来ない冬はない”
 
 麗らかな春の日差しに活き活きとした新芽を芽吹かせるために、寒さが厳しければ厳しいときだからこそ、本物の智慧を出すチャンスである。 さぁ、2009年、悠々と堂々と本気で勝つとの信念で良くなる方法を考えて実践していただきたい!

 

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