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人事・労務

第79話 年次有給休暇のスムーズな消化を考える

「賃金の誤解」

賃金管理研究所 所長 弥富拓海
http://www.chingin.jp
 
 労働基準法第39条には、雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した従業員に10日の年次有給休暇を付与することが定められています。10日付与の1年後からは、前年の付与日数に1日を、3年6ヶ月以降は2日を加算した有給休暇を与えると定めています。ただし、有給休暇の日数は20日が法律上の限度であり、6年6ヶ月以降は毎年20日付与となります。
 
 有給休暇は、本人が指定した日時に与えねばなりません。この労働者が指定できる期間は2年間ですから、年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します(労働基準法第115条)。以下有給休暇付与にあたっての注意点等を列挙してみたいと思います。
 
(1)労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合、
 例えば、多くの労働者が同時に同じ日を休暇指定した場合には使用者に時季変更権が認められます。
 しかし単に「業務多忙だから」というだけでは時季変更権は認められません。
 
(2)よくある誤解のひとつが、労働基準法第41条に該当する管理監督者は「労働時間、休日、休憩」の
 適用除外だから、有給休暇の管理も不要ではないかとの意見がありました。しかし管理職も、労働者ですから
 年次有給休暇は当然付与されます。
 
(3)年次有給休暇の消化を促進する目的もあって、有給休暇の付与日数のうち、5日を超える部分については、
 労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができます。
 
(4)年次有給休暇は1日単位で与えるのが原則ですが、半日有給は可能とされており、労使協定を結べば
 1時間単位も可能です(上限は1年で5日分まで)。なお時間単位の有給休暇は「整数の時間数を指しており、
 1時間未満のものは含まれない」とされ、会社が早退や遅刻の有給休暇への振り替えを認めるとして、
 20分程の所用ゆえの遅刻・早退も1時間単位での有給休暇に充当しなければ労働基準法上の
 有給休暇取得とは言えません。
 
(5)継続勤務とは、事業場における在籍期間をいいます。したがって育児介護休業や介護休業を取得した期間、
 産前産後の休暇期間、さらに労働組合の専従役員になった等、休職扱いになっている期間も
 在籍期間であり継続勤務として扱う必要があります。
 
(6)会社は当日の有給休暇の請求についてどのように対応しているのでしょうか。
 労働基準法上の有給休暇は原則1日単位です。この1日とは、原則として午前0時から午後12時までの
 暦日とされており、当日朝の有給休暇請求は事前ではなく、後の請求となります。
  事後の請求を認めるか否かは、使用者の自由です。認めても良いのですが、当日の請求を認めないとしても
 違法とはなりません。就業規則に例えば前日の17時30分までに請求するようにと具体的に定めておくと
 良いでしょう。
 
(7)年次有給休暇の買い取りは本来の趣旨、「休むこと」を妨げることとなるため法律違反となります。
 ただ未消化分日数を賞与出勤係数に加算することは可能です。なお退職日を過ぎてからの
 権利行使はできませんから、退職時に結果として残ってしまった年次有給休暇に対し、
 残日数に応じた金銭を給付することは差し支えないとされています。

 

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